がんを予防するためには何を避ければよいのか?
噂やテレビでの情報で「あれを食べるとがんになる」「こういうことをするとがんになる」という話をよく耳にします。そこで、それらひとつひとつの説に対して、それがどういった仕組みによるものなのか、医学的根拠はあるのかどうか、詳しく調査 してみました。ぜひ参考にしてみてください。
タバコは、古くからがんの発症要因として指摘されている生活習慣です。特に肺がんのリスクを高める要因として有名ですが、実は、他のさまざまながんとの因果関係もあることがわかっています。
近年では受動喫煙による周囲への影響についても取り上げられるようになりましたが、喫煙によってどのようなリスクが生じるのかを認識し、この生活習慣を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
「酒は百薬の長」とも言われるように、適量であれば血行促進やストレス解消といったメリットも認められているアルコール。その一方で、がんの発生リスクを高めていることも指摘されています。特に、日本人は欧米人と比べてアルコールへの耐性が低い傾向があり、同じ量を摂取した場合でも、がんの罹患リスクが高くなると言われています。
ハムやベーコンをはじめとする加工肉は家庭でも日常的に利用されている食材ですが、国際がん研究機関の発表によると、加工肉には発がん性が認められるとのこと。しかし、そのメカニズムははっきりと判っておらず、標準的な摂取量であれば問題はないという意見もあるようです。
毎日の料理やお風呂、手洗いなど、さまざまな場面で利用されている水道水。私たちの生活に欠かすことはできない大切なライフラインのひとつですが、水に含まれている有機物と塩素が反応してできるトリハロメタンや、自然界に存在しているヒ素は、がんリスクを高める物資だと指摘されています。
ただし、日本の水道水は厳格な水質基準で管理されているため、健康に影響を与える可能性は低いと考えて良さそうです。
食品や住宅などに発生するカビには多くの種類があり、中にはがんの原因にもなるカビ毒(マイコトキシン)を作り出すものも存在します。この物質は、がん以外にも肝臓や腎臓、胃腸に障害を与えるなど、人体にとって有害な性質を持っており、さらに死滅した後も食物に残存するという性質があるため、その取扱いについては厳密に制限されています。
世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)の発表によると、「非常に熱い飲み物(65℃以上)」を、おそらく発がん性のある物質として分類しています。各国で行われた研究でも、お茶をはじめとする熱い飲み物と食道がんリスクの関連性が指摘されています。
塩は私たちの食生活にとって欠かす事のできない調味料ですが、摂り過ぎはさまざまな疾患につながることが指摘されています。世界保健機関(WHO)と食糧農業機関(FAO)からもがんの発症に関与する可能性が高いという見解が発表されており、減塩の重要性について検討していく必要がありそうです。
食べ物を加熱した時にできる「焦げ」の中には、アクリルアミドやヘテロサイクリックアミンという発がん物質が含まれています。ただし、これらの物質については、一般的な食事で摂取する量はわずかであり、それほど神経質になる必要はない、という意見もあるようです。
2002年、ポテトチップスにはアクリルアミドという物質が含まれているという研究結果が報告されました。アクリルアミドは、国際がん研究機関(IARC)で「おそらく発がん性がある物質」と分類されている物質。このため、当時のさまざまなメディアでは、ポテトチップスのがんリスクについて取り上げられることになりました。
「がんになる」という食べ物や生活習慣に注意するだけでなく、「がん予防に役立つ」と言われている食べ物や成分にも目を向けてみましょう。
普段から口にしている身近な食材にもがんに効く栄養素は含まれており、最新の研究によって、がんに対する効果が認められた新たな成分も数多くあります。こうした食品を積極的に摂るようにしたり、サプリなどで手軽に摂取するのも良いでしょう。
もちろん、中には噂レベルの域を出ないものもありますが、権威ある研究機関によって正式に効果が認められている成分があるのも事実。まだ治療薬として採用されていないものの、既に臨床の現場で利用され、がん患者の症状を改善されている例もあります。大切なのは、しっかりと確かな情報を収集し、根拠に基づいて判断することです。
さらに、こうした情報は日々の研究によって絶えず更新されていくもの。アンテナを伸ばし、常に最新の情報をキャッチしていくように心掛けましょう。
がんへの効果が認められた