癌の放射線治療の特徴、治療効果、問題点を解説します

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がんの3大治療と免疫療法の関係

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Method 3

癌の放射線治療 Radiation

機能温存でき、再発防止の効果も見込める「放射線治療」

放射線療法(イメージ)

放射線治療は、癌組織の拡大を遅らせたり、または縮小させるために行う治療です。放射線治療のみで根治を狙う場合、その目的は臓器の機能を温存すること。頭頸部癌や悪性リンパ腫、子宮頸癌、肺癌、食道癌などで採用される治療法です。手術前に行う場合は癌を縮小させ切除しやすくすることを、手術後に行う場合は取り残したかもしれない癌細胞を殺傷し再発防止することを目的に行います。

癌細胞のDNAを攻撃し分裂できないように仕向け、癌細胞が正しいサイクルで死滅するようにするのが放射線治療の狙いです。正常な細胞にも影響はありますが、癌細胞への影響に比較すると軽度です。開腹手術ほど体力を必要としないため、体力が弱っている人や高齢者などにも受けやすい治療です。回復も早く、生活にあまり影響がないこともメリットのひとつです。

放射線治療には、身体の外部から放射線をあてる「外部照射」と、放射線を出す物質を充填したカプセルを食道など癌組織のある部分に入れる「内部照射(小線源治療)」とがあります。外部照射がよく行われますが、事前に入念な検査を行い、患者の全身状態を加味しながら放射線をどこに、どれだけ、どの方向から照射するのかを定める治療計画を立てます。

治療費は、健康保険の利用で3割負担(もしくは1割負担)で済みます。また一定額以上の負担をしなくてもよい「高額医療費制度」という制度もあります(収入により自己負担金額が定められています)。

アイコン 放射線治療で癌を抑える流れ

  • 1 治療医による診察と説明

    癌の放射線治療は、まず治療医師による診察と説明からスタートします。癌の状態と身体の状態、治療の目的、他の治療が必要かどうかなどを、期待される効果や副作用とともに検討します。患者自身も治療について疑問点があれば、納得できるまで質問をする姿勢が必要です。これまでに受けた治療歴なども正しく伝えます。

  • 2 治療計画

    CT画像や放射線治療専用の治療計画装置によって、癌の位置や状況を把握したうえで、どこに、どの角度から、どのくらいの量を照射するかを検討します。照射中に位置がずれてしまわないよう、固定具を使用する場合もあります。治療前には皮膚に照射位置を示す印をつけるマーキングも行います。

  • 3 外部照射の場合

    マーキングした場所を手がかりに照射位置を確認して、診療放射線技師が照射をします。照射中は、治療を行う寝台の上で動かずに安静にしているだけです。治療計画により詳細は異なるものの、1回当たり数分の照射を1週間に4~5日行い、これを数週間繰り返すことが一般的です

  • 4 密封小線源治療(内部照射)の場合

    癌の場所や状態により、放射線源を決めます。その強さによって1~7日かける治療と、数分の治療を複数回繰り返す治療とにわかれます。数分で終わる外部照射とは異なり、体内に一定の時間、線源(放射線を出す小さなカプセル)を入れておきますので、特別な部屋に入っておくことや、他の人との接触をしないように制限をかけられることがあります。治療期間中に放射線治療医の診察があり、効果や副作用がどの程度かを確認しながら、計画通りの治療を続けてよいのかを判断します。

  • 5 経過観察

    治療期間が終了したのちも、効果や副作用の確認のため放射線治療医の診察を受け、必要な検査を受けます。放射線治療の副作用は、治療後すぐに出るものと数ヶ月経過してからあらわれるものがあります。定期的に受診することでこれらの副作用にも早く気づけますので、必ず病院に行き診察を受けましょう。

アイコン 放射線治療の種類

放射線治療は、電磁波によって行うものと、粒子線によって行うものに大別されます。この中でもよく用いられるのは電磁波に属するエックス線やガンマ線です。物質とぶつかったときに、原子核の周りをぐるりと回る電子をはじき、電子と陽イオンに分離してしまう電離作用を持っていますが、このとき癌細胞のもつDNAを破壊。癌細胞を死滅させるという仕組みです。

  • エックス線

    癌の治療に最も多く用いられているのがエックス線です。ライナック(リニアック)という照射機器を用い、加速させた電子を金属の板に当てることでエックス線を発生させます。エックス線はエネルギーが大きくなれば到達する場所が深くなるという性質があります。このため、浅い場所の癌には弱いエネルギーで、深い場所の癌には強いエネルギーで照射をしなければなりません。癌の位置の確認や緻密な計画、準備が必要なのは言うまでもありません。

  • ガンマ線

    電磁波の中でも、少々特殊なのがガンマ線です。放射性物質が崩壊するときに出るのがガンマ線で、バルト60、ヨウ素125、セシウム137などの放射性物質が用いられます。放射性物質そのものがガンマ線を放出するので、加速器といった特別な機器は必要ありません。ガンマ線はエネルギーが低く、身体の奥深くに届けることが難しいため、主に脳腫瘍に用いるガンマナイフや小線源治療といった特殊な使い方をします。

  • 電子線

    エックス線は、電子線を加速して金属板に当てることで身体の深部に届けるための工夫をしています。一方、治療が体の浅い部分であるなら、電子線そのものを照射すれば事足りることもあります。電子線は身体への浸透力はないものの、一定の深さに達したらエネルギーを出し切りその後は消失してしまうことから、身体の深部への影響を少なくできるというメリットがあります。体表から深さ5センチ以内と作用は限定的ですが、皮膚がんには有力な治療法です。

  • 陽子線

    陽子線治療とは、水素原子から電子を取り去ったときに残る陽子を加速器で加速、がん組織に向けて照射する治療法です。身体の深いところにまで届くという特徴があります。身体の深いところに達すると、エネルギーの放出後、その運動を終了します。腫瘍に届いたときに最大エネルギーを出すように操作すれば、他の組織に与える影響を最小限にとどめることができます。この陽子線を発生させる加速器は巨大なもので、日本に数ヶ所しかありません。

  • 重量子線

    重量子線治療は、陽子線治療と同じように身体の深部に達したときにエネルギーを放出し、運動が停止するという特徴があります。重量子線治療に用いられているのは炭素核です。陽子線と異なるのは、大きな質量。陽子線よりも破壊力が大きいことが特徴です。この点から、放射線治療の中でも特に注目されています。加速器は陽子線治療に用いられるそれよりもはるかに巨大で、日本国内では数ヶ所の施設にしかありません。

  • 中性子線

    中性子線を用いた放射線治療は古くから行われています。1930年代には、アメリカにおける頭頚部がんの治療分野で、当時の他の治療法よりも高い効果があったとされています。今では放射線による障害も理解されており、この速中性子線は使われていません。現在はホウ素中性子捕捉療法が主なものです。ホウ素化合物を患者に投与し、癌細胞がホウ素を取り込んだ後、熱中性子線をに照射すれば、癌細胞内のホウ素と反応して癌細胞のみを破壊することができます。

先進的放射線治療
「トモセラピー」とは

がん病巣へのピンポイント照射で身体への負担を抑える

トモセラピー(Tomotherapy)は、アメリカで開発されたがんの放射線治療器。患者のまわりを螺旋状に回転しながら、細い放射線を複数組み合わせて照射することができます。がんの病巣を包み込むように集中的に照射を行うことで、従来の放射線治療よりも放射線レベルを抑え、効率良くがん細胞を死滅させられる治療です。

放射線治療には、がん細胞の周りにある健康な細胞にも放射線を照射してしまうという問題点があります。しかし、トモセラピーは病巣を包み込むように放射線を放射線を照射できるので、健康な細胞に対する照射量を最低限に抑えることが可能。その分だけ副作用を抑えることができるので、生活の質を落とすことなく治療できるというのも特徴です。

  • トモセラピーを実施している
    がん治療専門クリニック

    クリニックC4

    クリニックC4(サイトイメージ)
    クリニックC4(サイトイメージ)
    画像引用元:
    クリニックC4公式HP(http://cccc-sc.jp/)

    クリニックC4は、トモセラピーを得意とするがん専門クリニック。分子機構を修正する薬とトモセラピーの併用療法により、手術や抗がん剤での治療をあきらめた方に対しても積極的ながん治療を行っています。
    院長である青木幸昌氏は、30年以上にわたってがん治療に携わってきた医師であり、放射線医学総合研究所で重粒子線治療における射出口設計に関与し、その治験計画の策定にも従事する人物。いわば、放射線治療のプロフェッショナルと言えるでしょう。

    住所
    〒151-0062 東京都渋谷区元代々木町33番12号
    アクセス
    小田急線「代々木八幡駅」・東京メトロ千代田線「代々木公園駅」から徒歩6分
    診療時間
    9:00~18:00 予約制
    休診日:土曜・日曜・年末年始
    電話番号
    03-6407-9407
    クリニックC4について公式サイトで見る クリニックC4について公式サイトで見る
  • アイコン 放射線治療の問題点

    放射線治療も他の治療法と同じく万能ではありません。向き不向きや副作用についても知っておいていただきたいと思います。

    • Problem 1
      臓器や悪性腫瘍の種類によって向き不向きがある

      放射線治療そのものは、基本的にどの臓器の癌であっても対象とできます。しかし、身体の深部にある癌には大掛かりな機器が必要なこともあります。また、癌細胞の放射線に対しての反応は一律ではありません。これを「癌細胞の放射線感受性」と呼び、放射線に強い癌細胞の存在も確認されています。さらに臓器によって、ダメージの度合いが大きく左右されるという面もあります。癌細胞の放射線感受性と臓器が受けるであろうダメージとのバランスをうまくとることが、放射線治療を成功させるための重要なポイントです。

    • Problem 2
      放射線照射による副作用

      放射線治療は、身体に傷をつける手術のようなダメージはありませんし、抗がん剤治療のように全身に影響を及ぼすものでもなく、心理的に受け入れやすい治療法ではあります。しかしながら副作用が全くないわけではありません。放射線治療の後、照射している部分にやけどのような炎症があらわれることもあります。肺や食道のがんへの照射であるなら、食道炎を起こして飲食のときに飲み込みにくいと感じることがあります。胃や腸が治療対象であれば、腹痛や下痢、吐き気、膀胱に照射されたことによる排尿困難の可能性も。

    • Problem 3
      二次がん発生の可能性

      放射線が健康な細胞に触れてしまったとき、その健康な部分が癌になってしまうことがあります。これを「二次がん」といい、放射線照射を受けない部分に比較してその発生率は高くなります。しかしながら、がん治療の効率に比べれば、この二次がんの危険は低いとされています。それであっても健康な細胞を傷つけてしまうことの完全な否定はできず、この点を心配している人がいるのも事実です。

    放射線治療に加えて考慮すべき
    第4のがん治療「免疫療法」

    癌治療において、3大治療法は外的な力によって癌を取り除いたり攻撃することで一定の効果を見込めるものです。その中でも放射線治療は、体力がない、高齢であるといった理由で外科的手術を採用しづらい人にも取り組みやすい治療です。しかし、この放射線治療にも向き不向きや副作用といったデメリットがあります。

    ときに免疫力の低下を招く放射線治療と併せて「第4のがん治療法」といわれる免疫療法を取り入れてみるのはいかがでしょう。放射線治療の治療効果を期待しつつ、免疫力をあげれば、がんに打ち勝つ治癒能力を格段にアップすることができるはずです。3大治療法と併用することで生活の質も向上できると期待されているのが免疫療法です。

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