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がんの3大治療と免疫療法の関係

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注目されている免疫療法(イメージ)

がん治療でも注目を浴びる免疫療法とは

免疫療法とは、人間が本来持っている自然治癒力を利用した治療法のこと。白血球を活性化させて、がん細胞やウィルスなどの異物を自分自身の免疫力によって排除します。

免疫療法は、まだ医療現場での一般的な治療法として定着したとは言い切れません。しかし、これまでの豊富な成功事例が評価され、現在では多くの医療機関で採用されるようになってきています。下記のページでは、東京都内で免疫療法を実施しているクリニックを詳しく紹介しているので、クリニックをご検討の際にはぜひ参考にしてみてください。

東京にある免疫療法クリニック15院を3つの視点で比較

免疫療法とがんとの関係

主ながんの治療方法には、手術療法、薬物療法(抗がん剤)、放射線療法の3種類があります。これらを、がんの三大療法と言います。

次いで昨今大きく注目を集めている治療法が、免疫療法。これを、三大療法に続き、免疫療法をがんの4番目の治療法と位置づける見方もあります。

日本で免疫療法が開始されたのは1970年代。以後、免疫学、細胞学、腫瘍学の進化とともに、免疫療法の質も徐々に進化していきました。

免疫療法におけるがん治療に限定してその進化過程を見ていくと、初代の「丸山ワクチン療法」から始まり、現代の「フュージョン細胞療法」に至ります。

「丸山ワクチン療法」では、がんの治療効果を高めることはできたものの、がん細胞を排除することはできませんでした。その後、不特定のがん細胞を排除できる療法、特定のがん細胞を排除できる療法と、徐々に免疫療法は進化。現代の「フュージョン細胞療法」に至り、がん細胞の異変にも対応できるレベルとなりました。日本で開発された「フュージョン細胞療法」は、現在、国際的に見ても最高水準の免疫療法とされています。

現代の免疫療法は、既存の三大療法を否定するものではありません。

局所的な手術療法によってがん細胞を最小限にし、その上で免疫療法を行うことは、がんの根治に向けて非常に有効な方法とされています。あるいは、副作用がほとんどない免疫療法を一部導入し、常用する抗がん剤の量を減らして副作用を軽減させる、という方法も試みられています。

積極的に三大療法を施しつつ、並行してがんの治療効果をあげる治療法。それが免疫療法の現在の位置づけと考えて良いでしょう。

がん治療で免疫療法を取り入れるべき?

1970年代ごろから進化してきた免疫療法は、現代において大きな転換点を迎えていると言えます。

これまでの免疫療法は、「いかに免疫力を高めるか」という視点から研究が進められてきました。しかし現代、根本的に発想を違える視点から、新たな免疫療法が開発されました。「免疫力のブレーキを解除する」という視点です。それが「免疫チェックポイント阻害剤」。日本人研究者から生まれた免疫治療薬です。

「免疫チェックポイント阻害剤」の特徴は、幅広いがんに対応できることと、効果の持続性が長いこと。他に治療法のなかった患者にも高い治療効果をあげています。

「免疫チェックポイント阻害剤」の効果には厚生労働省も注目。開発から極めて早い段階で薬事承認を付与しました。以後、世界中のがん治療現場において臨床研究が行われています。

ところで現在、これだけ注目されている免疫療法であるにも関わらず、医師の中にはこの治療法に懐疑的な見方を持つ人もいます。

しかし、2007年にフランスで行われたマウスの実験によると、免疫力を奪ったマウスに抗がん剤や放射線を施しても、がん細胞は増殖を続ける、という結果が得られています。この結果から「標準的な治療法と免疫療法とを並行することが、がん治療効果を高める」ということが分かるでしょう。

現在、免疫療法の効果に期待を寄せつつも、なかなか治療に踏み出せない患者が多くいます。その最大の理由は高額な治療費です。

費用面の問題を克服できる日がくれば、がん治療における免疫療法の裾野は一気に広がっていくことでしょう。

これからのがん免疫療法の課題

免疫療法はがん治療において万能である、という訳ではありません。まだまだ研究途上のところもあり、いくつかの課題はあります。

その一例が、一部の医療関係者が唱える「免疫療法の有効性に対する疑念」です。手術療法、薬物療法、放射線療法の効果を疑う医師はほとんどいませんが、まだ免疫療法はすべての医療関係者の支持を受けた治療法ではありません。

かつて免疫療法は、いわば最終手段として選択されてきました。他の治療法がなくなり、最後の望みとして免疫療法を試してみる、という位置づけです。

しかしながら、この段階(末期)における治療効果だけを切り取って、他の治療法と比べた場合の有効性を議論するのは、かなり無理があるでしょう。

とは言え、免疫療法にはまだまだ臨床研究の余地があります。がんのステージごとにおける効果検証や、がんの部位における効果検証など、他の治療法と同様に豊富な臨床研究の蓄積があってこそ、広く医療関係者からの支持も得られるようになるでしょう。

現在は、その豊富な臨床研究を蓄積している段階とも言えます。免疫療法の高い効果をその目で確認した医療関係者も、急速に増えてきました。国内はもとより、世界中の医療機関において免疫療法の需要は拡大しています。何より、抗がん剤や放射線など従来の治療法と並行して行う免疫療法については、その効果を疑う医師はかなり減りました。

免疫療法が魅力的な治療法であることは、間違いないでしょう。