免疫療法によるメラノーマ治療の症例まとめ

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がんの3大治療と免疫療法の関係

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皮膚がん(イメージ)

皮膚がん(メラノーマ)の免疫療法症例 Skin cancer

自分で確認できる数少ないがんのひとつ―メラノーマ

皮膚がんは、身体の表面にあらわれることから、乳がんと同様「自分でチェックできる」がんのひとつです。皮膚がんには、基底細胞ががん化した「基底細胞がん」、有棘細胞ががん化した「有棘細胞がん」、悪性黒色腫(メラノーマ)などの種類があります。特にメラノーマは転移の頻度が高く、死亡率が高いことで知られています。

Recovery Case

免疫療法の症例
~皮膚がんの場合~

  • case1

    鼻腔悪性黒色腫―【全身への転移】全身の皮膚をリンパ節への転移が始まったため、免疫療法(樹状細胞ワクチン療法とアルファ・ベータT細胞療法)を開始。1クール目から改善が確認され、全身状態も良好。

  • case2

    皮膚がん(扁平上皮がん)―【大腸への転移】左下まぶたの皮膚がんは手術で除去できたが、下血があり大腸への転移が判明。活性化リンパ球療法による治療で、その後10年間無再発を維持。

皮膚がん(メラノーマ)の免疫療法事情

今まで、転移するがん細胞を完治できない場合が多かった皮膚がん。現在では、直接がん細胞だけを攻撃する免疫療法が、手術できないステージにいる患者を救っています。その免疫療法は、2つの免疫チェックポイント阻害剤「ニボルマブ」と「イピリムマブ」です。

アイコン メラノーマに効果を発揮する免疫チェックポイント阻害剤

現在の日本では、手術だけでは取り除けないほど転移が進んでいた皮膚がんを、薬物で治療する方法が承認されています。それは、免疫チェックポイント阻害剤を使用した治療。体内でがん細胞と闘うキラーT細胞の手助けをし、免疫力を上げる方法です。

日本では、2014年7月から、免疫チェックポイント阻害剤「ニボルマブ」がメラノーマに対して承認されています。また、翌年2015年にはもう1つの免疫チェックポイント阻害剤「イピリムマブ」も、選択肢に加わりました。

アイコン 縮小、消滅が見られやすい

メラノーマの免疫療法にニボルマブを用いた場合、がん細胞が縮小、あるいは消滅した患者の割合が多いです。米国癌学会が2016年に発表した、アメリカのがん統計では、ニボルマブ治療を行ったメラノーマ患者の5年生存率が34%。同じ転移性メラノーマ患者の5年生存率が、2005年から2011年までの間では16.6%なので、大きく向上したことがわかります。また、ニボルマブの投与を中止した後も、縮小し続けているケースも確認されているのです。

免疫チェックポイント阻害剤の特徴は、進行が進み、手術が困難と医師から伝えられた患者でも受けられること。がん細胞を消失させるのではなく、攻撃力を弱めることで、メラノーマと共存しながら毎日を自分らしく過ごしている人もいます。

アイコン 抗がん剤のように、効果が弱まらない

抗がん剤を長期的に使用していると、がん細胞に耐性が尽いていく場合があります。その結果、がん細胞が力を増し、抗がん剤の効果が弱まる場合も。しかし、ニボルマブを用いた免疫療法で働きかけるのは、がん細胞そのものではなく免疫細胞です。がん細胞を攻撃する免疫細胞の働きを活性化、あるいは弱めるのを防ぐため、がん細胞に耐性がつきにくくなります。

皮膚がん(メラノーマ)に効果的な治療法

外科手術

早期のメラノーマの場合、外科手術が中心です。早期患者の外科手術は5年生存率が95%。皮膚に現れるがんなので発見しやすく、手術で対応できる患者が多いです。しかし、メラノーマが進行し、肺や肝臓、骨などに転移した場合は、外科手術でがん細胞を取り除くことが難しくなります。外科手術では対応できない進行したメラノーマの場合、薬物治療が中心です。

分子標的薬

最近では進行するメラノーマの治療薬として、新たな分子標的薬が登場しています。2015年にはBRAF阻害剤、ゼルボラフが登場。翌年2016年には新たなBRAF阻害剤タフィンラーが治療法に加わりました。

併用療法

タフィンラーは、MEK阻害剤メキニストと併用できます。メラノーマの併用療法は、2017年現在、国内外で臨床試験が行われている真っ只中。海外では、免疫チェックポイント阻害剤と分子標的薬の併用について臨床試験を行っています。今後日本でも、新たな併用療法が可能になるかもしれません。