キイトルーダは、「抗PD-1抗体」と呼ばれている免疫チェックポイント阻害薬。「新しいがん治療薬」として注目を集めており、複数の症状に対して効果が期待されています。そこでこの記事では、キイトルーダの特徴や効果、使い方などについてご紹介します。また、免疫機能に働きかけることにより副作用が起こる可能性もあるため、治療により起こりうる副作用についても解説しています。
一般名称 | ペムブロリズマブ |
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形状 | 注射剤 |
分類 | 免疫チェックポイント阻害薬 |
商品名・薬価 |
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適応する症状 |
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キイトルーダは、これまで使われてきた抗がん剤のように、直接がんを攻撃するのではなく、人の体が持っている免疫機能を活性化させ、T細胞ががん細胞を再び攻撃できるようにする点が特徴と言えるでしょう。このことから、キイトルーダを含む免疫チェックポイント阻害薬は、「新しいタイプのがん治療薬」と言われています。
がん細胞は自身が増殖するために、人の免疫機能において重要な役割を果たしているT細胞に対し、攻撃のブレーキをかける働きがあります。これは、がん細胞の表面にあるPD-L1と呼ばれるたんぱく質が、T細胞の表面にあるPD-1と呼ばれるたんぱく質と結合することによって、攻撃のブレーキをかける信号が発信されるためです。
「抗PD-1抗体」と呼ばれている免疫チェックポイント阻害薬であるキイトルーダは、投与するとT細胞のPD-1と結合することで、がん細胞からT細胞に対して送られる、攻撃にブレーキをかける信号を遮断することができます。このことにより、T細胞が活性化され、がん細胞の増殖を抑えられると考えられています。
キイトルーダは、米国の製薬会社であるメルクにより開発されました。日本においては、2017年の2月にMSD(メルクの子会社)が悪性黒色腫の治療薬として販売を開始しています。
キイトルーダは、3週間の間隔で静脈に点滴投与されます。投与の際の点滴時間は30分となります。
そのため3週間を1コースとして、患者の状態を見ながら投与を繰り返しますが、副作用と思われる症状が出た場合などは適切な処置を行う、またはキイトルーダの投薬が中止されることもあります。
キイトルーダを用いて肺がんの治療を行う際には、化学療法を併用する場合があります。
化学療法とは、殺細胞性抗がん薬による治療のことを言い、活発に分裂を続けているがん細胞の増殖を阻止することにより、がん細胞を死滅させるものです。ただし、この場合、がん細胞だけではなく正常な細胞も攻撃します。
キイトルーダと化学療法は、異なる作用で同時にがん細胞を攻撃するため、併用することにより双方の治療効果が期待されています。しかしこの治療が受けられるかどうかは主治医に相談し、しっかりと確認をする必要があります。
また、キイトルーダと化学療法の併用療法においては、肺がんの組織型(非扁平上皮がんまたは扁平上皮がん)によって組み合わせる殺細胞性抗がん薬が異なります。
具体的に説明すると、非扁平上皮がんの場合には、キイトルーダにペメトレキセドとプラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)を組み合わせることによって治療を行っていきます。また、扁平上皮がんの場合には、キイトルーダにパクリタキセルまたはパクリタキセル(アルブミン懸濁型)とプラチナ製剤(カルボプラチン)を組み合わせて治療を進めていきます。
キイトルーダを投与すると、がん細胞の働きによって抑制されていた免疫機能を活性化させることができます。ただし、この場合に免疫が働きすぎることで、副作用として症状があらわれてくるケースがあります。どのような副作用が出るか、そして副作用はどの程度なのかについては個人差がありますが、いずれにしても副作用と思われる症状がある場合には、早急に医師や看護師、薬剤師などに相談することが必要です。
キイトルーダを投与するにあたり、注意すべき重大な副作用について、発生頻度とともに表にまとめています。さまざまな副作用が想定されるため、医療機関ではもちろんですが、患者自身においても体調の変化などに敏感になっておく必要があります。
間質性肺疾患 | 間質性肺疾患(4.0%)があらわれることがあります。 |
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大腸炎、小腸炎、重度の下痢 | 大腸炎(1.8%)、小腸炎(頻度不明)、重度の下痢(1.4%)があらわれることがあります。さらに腸炎から穿孔、イレウスに至る例が報告されています。 |
皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑 | 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)、多形紅斑(0.1%)があらわれることがあります。 |
類天疱瘡 | 類天疱瘡(0.1%未満)があらわれることがあります。 |
神経障害 | 末梢性ニューロパチー(1.9%)、ギラン・バレー症候群(0.1%未満)などの神経障害があらわれることがあります。 |
肝機能障害、肝炎、硬化性胆管炎 | AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-P、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害(9.2%)、肝炎(0.9%)、硬化性胆管炎(0.1%未満)があらわれることがあります。自覚症状はほとんどなく、検査によって発見されることがほとんどです。 |
甲状腺機能障害 | 甲状腺機能低下症(8.7%)、甲状腺機能亢進症(4.9%)、甲状腺炎(1.0%)などの甲状腺機能障害があらわれることがあります。 |
下垂体機能障害 | 下垂体炎(0.4%)、下垂体機能低下症(0.3%)などの下垂体機能障害があらわれることがあります。 |
副腎機能障害 | 副腎機能不全(0.4%)などの副腎機能障害があらわれることがあります。 |
1型糖尿病 | 1型糖尿病(劇症1型糖尿病を含む)(0.3%)があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシスに至るおそれがあります。 |
腎障害 | 腎不全(0.9%)、尿細管間質性腎炎(0.2%)などの腎障害があらわれることがあります。 |
膵炎 | 膵炎(0.3%)があらわれることがあります。 |
筋炎、横紋筋融解症 | 筋肉に炎症が起こる筋炎(0.1%)、横紋筋融解症(頻度不明)があらわれることがあります。 |
重症筋無力症 | 重症筋無力症(0.1%未満)があらわれることがあります。また、重症筋無力症によるクリーゼのため急速に呼吸不全が進行することがあるので、呼吸状態の悪化に十分注意が必要です。 |
心筋炎 | 心筋に炎症が起こる心筋炎(0.1%)があらわれることがあります。 |
脳炎、髄膜炎 | 脳炎(0.1%未満)、髄膜炎(0.1%)があらわれることがあります。 |
重篤な血液障害 | 免疫性血小板減少性紫斑病(頻度不明)、溶血性貧血(頻度不明)、赤芽球癆(頻度不明)、無顆粒球症(頻度不明)などの重篤な血液障害があらわれることがあります。 |
血球貪食症候群 | 血球貪食症候群(頻度不明)があらわれることがあります。 |
結核 | 結核(頻度不明)を発症することがあります。 |
インフュージョンリアクション | 点滴中や点滴直後にインフュージョンリアクション(1.6%)があらわれることがあります。(インフュージョンリアクション:モノクローナル抗体製剤と呼ばれる注射薬を点滴した際に起こることがある体の反応。過敏症やアレルギーのような症状があらわれます) |
ぶどう膜炎 | 目の中に炎症が起こるぶどう膜炎(頻度不明)が起こることがあります。 |
全ての患者に対し、キイトルーダを投与できるわけではなく、使用できないケースや投与の際に慎重な検討を要するケースもあります。ここでは、使用における注意点について説明します。
キイトルーダを投薬できないのは「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」とされています。そのため、キイトルーダに含まれている成分に対し、これまでに過敏症候群を起こしたことがある人には投与することができません。
過敏症候群の症状としては、血圧の低下や意識障害、じんましん、発熱、発疹などが挙げられます。
下記に当てはまる患者の場合は、キイトルーダの投与について慎重に検討し、治療を行う必要があります。場合によっては治療を行えない場合もあります。
●自己免疫疾患にかかっている、または過去に自己免疫疾患にかかったことがある患者
自己免疫疾患とは、免疫機能が自分自身の体や組織を攻撃することにより発症する疾患です。例えば、膠原病やクローン病、橋本病、バセドウ病、1型糖尿病などが挙げられます。これらに当てはまる人にキイトルーダを投与した場合、免疫関連の副作用があらわれる、または悪化するおそれがあるため、慎重に投与を行う必要があります。
●間質性肺疾患にかかっている、または過去に間質性肺疾患にかかったことがある患者
間質性肺疾患とは、肺の肺胞と肺胞の間に炎症や損傷が起こることで、肺の組織が硬くなり二酸化炭素と酸素をうまく交換できなくなるものです。炎症が広がった場合には呼吸がしづらくなってしまい、命に関わることがあります。キイトルーダ投与に関しては、間質性肺疾患が「重大な副作用」として挙げられているように、投与により間質性肺疾患が起こる、または増悪する可能性があるため、慎重に投与を行う必要があります。
●臓器移植をしたことがある患者(造血幹細胞移植歴を含む)
キイトルーダを投与した場合、移植した臓器に対する拒絶反応や移植片対宿主病が起こるおそれがあります。そのため、投与に関しては慎重に検討を行う必要があります。
結核にかかっている、またはこれまでに結核にかかったことがある患者
キイトルーダの投与により結核を発症する可能性があるため、投与に関しては慎重に検討する必要があります。
高齢者の場合、一般的に生理機能が低下しているため、投与については慎重に行い、状態の観察を入念に行います。
妊娠中の女性に対するキイトルーダの投与については安全性が確立されていないため、妊娠中の女性や妊娠の可能性がある女性に対しては原則として投与は行われません。ただし、治療上の有益性が危険性を上回っていると判断された場合にのみ、やむをえず投与が行われる場合があります。妊娠の可能性がある女性については適切な避妊法を用いる必要があります。
また、授乳中の女性の場合は、投与に際し授乳を中止します。
低出生体重児や新生児、乳児、幼児、小児に対するキイトルーダ投与の安全性は確立されていません。
今回のDIC(播種性血管内凝固)はキイトルーダの副作用確定。他からの原因が考えられないので消去法で。そしてメーカーに問い合わせたところ 全国で同じような症例が8例。父は9例目のキイトルーダによるDICだそうだ。
この9名は投与前にステロイドを大量に使っていた共通点あり。残念なこと この9名のうち すでに3名が亡くなられたそうだ。
投与した日の夕方に、38度台の高熱が出ました。寒気がしたくらいで、体がだるいとか、頭が痛いなどの症状はないと、父は言ってました。翌日には、すっかり平熱に戻り、今に至ってます。食欲もあり、大好きな散歩や図書館などにも行けてます。