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3 リンパ球免疫療法免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイント阻害剤とは何か?

がん細胞は、とても巧妙に免疫細胞の攻撃をかわそうとしています。がん細胞を強力な殺傷能力で攻撃する細胞傷害性T細胞(CTL)に手出しされないよう、がん細胞は、このCTLの活動力を抑えてしまう免疫チェックポイントという仕組みを持っています。

この仕組みを発動できないようにすれば、再度、CTLががん細胞を攻撃できるようになります。がん細胞の持つ免疫チェックポイントという仕組みをストップさせるのが「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる物質です。

免疫チェックポイント阻害剤の種類 Type and Feature

  • Type 1 抗PD-1抗体(オプジーボ)

    CTL細胞が表面に持つPD-1という分子は、がん細胞の出すPD-L1という物質と結びつきやすい性質をもっています。これらの物質の働きによって、免疫細胞とがん細胞とが合体してしまうと、その瞬間から免疫細胞はがん細胞を攻撃できなくなってしまうのです。この、免疫細胞とがん細胞が結びつきやすい性質を阻害するのが「抗PD-1抗体(オプジーボ)」です。

  • Type 2 抗CTLA-4抗体

    がん細胞が体内に現れると、樹状細胞のB7と細胞傷害性T細胞(CTL)のCD28が結合してCTLA-4を作ります。CTLの表面のCTLA-4はCTLを活性化させる働きがあり、がん細胞を攻撃するようになります。このCTLA-4がB7と結合してしまうと、どういうわけかCTLはがん細胞を攻撃しなくなります。この場合は、CTLA-4とB7が結びつくのを阻害すると、CTLがもともとの働きを取り戻すことがわかっています。このために使用するのが「抗CTLA-4抗体」です。

  • Type 3 抗PD-L1抗体

    がん細胞を殺傷するよう準備を整えたCTLの表面には、PD-1と呼ばれる分子が存在します。がん細胞にはそのCTLの動きを封じるためのPD-L1という物質が結びついています。CTLのPD-1と、がん細胞側のPD-L1が合わさると、CTLの動きは抑制されてしまいます。PD-1には抗PD-1を、PD-L1には抗PD-L1を結合させてしまえば、CTLの攻撃行動は再度開始され、がん細胞を破砕しはじめます。

免疫チェックポイント阻害剤の役目とは?
がん細胞が免疫を抑制する仕組み

がん細胞は、敵の攻撃をかわし、自分自身を守ろうとする仕組みをもっています。これは、「がん免疫逃避機構」と呼ばれていて、がんの巧妙さをうかがい知ることができるものです。免疫を抑制しようとする、このようながん細胞の動きを止めようとする治療法が開発され、注目され始めています。

がん免疫逃避機構とは がん細胞は、自らを守ろうとする仕組みを持っており、これを「がん免疫逃避機構」と呼びます。このがん免疫逃避機構は、免疫細胞の正常な動きを止めてしまい、がん細胞の増殖を引き起こします。

免疫細胞の司令塔とも呼ばれる樹状細胞ががん細胞と出会うと、T細胞にがんの目印を伝え、同時に「攻撃しろ」という指示を出します。その指示と手配書を受けたT細胞は、攻撃すべきがん細胞を探し出し殺傷に入ります。この攻撃をかわすため、がん細胞はT細胞と結びつき、攻撃をやめるようサインを出すのです。

その結びつきは実に見事で、まるでパズルのピースのようにがっちりと合うのです。がん細胞と切っても切れないような状態となったT細胞は、「攻撃するな」のシグナルを受け取ることになり、がん細胞とT細胞の結合が成立し続ければ、がん細胞は攻撃を受けずに済むことになります。

がん免疫逃避機構のメカニズム 今、研究が進んでいるのは、「PD-1/PD-L1経路」といわれるものです。がん細胞が発している物質である「PD-L1(programmed cell death-1 ligand-1)」と、T細胞のもつPD-L1受容体である「PD-1(programmedcell death-1)」は、がっちりと握手をするような吸引力により結びつくものです。

PD-L1とPD-1がぴたっと結合してしまうと、がん細胞が免疫細胞にブレーキをかけ、攻撃状態に入ったT細胞の動きを止めてしまいます。逆に言えば、PD-L1とPD-1の結びつきを回避することができれば、がん免疫逃避機構は働かなくなるのです。

免疫チェックポイント阻害剤療法

免疫チェックポイント阻害療法とは、上にご説明した「がん免疫逃避機構」で、結びつくはずのがん細胞と免疫細胞を近づかないようにするものです。結びつきを阻害することで、免疫細胞に本来の働きをさせること、免疫細胞が再度活性化するように仕向けるものです。

治療の流れ 免疫チェックポイント阻害剤のひとつ「抗PD-1抗体(オプジーボ)」の治療は、がんの種類や患者の治療暦などにより決定されます。一例を紹介します。

悪性黒色腫 14日に1度オプジーボ静脈に点滴、1時間以上で投与します。14日に1度を1サイクルとし、静脈点滴を続けます。

悪性黒色腫(抗がん剤治療などを受けたことのある患者) 21日に1度オプジーボを静脈に点滴、1時間以上で投与します。21日に1度を1サイクルとし、静脈点滴を続けます。

非小細胞肺がん 14日に1度オプジーボを静脈に点滴、1時間以上で投与します。14日に1度を1サイクルとし、静脈点滴を続けます。

効果効能 免疫チェックポイント阻害剤は、これまでに三大治療法(手術・抗がん剤・放射線治療)で効果が見られなかった患者のうち、2~4割に一定の効果があることがわかってきました。たとえば、ホジキンリンパ腫では9割の患者に何らかの効果があったとの結果もあります。また、肺がんや腎臓がん、メラノーマでは2~4割の患者に一定の効果がありました。

一例として、ステージ4・進行がん(大腸がん)の22歳の方は、2回の手術と抗がん剤による治療を受けても効果はなく、「出来ることは何でもしよう」との思いで、免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験に参加しました。結果、がんが60%近く縮小し、1年後には外出できるまでになりました。

また別の方の例としては、肺がんが全身に転移してしまい、「余命数ヶ月」との診断があった後、抗がん剤の効果はなかったものの、免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験に参加したことで、1年半後には肺がんが見えなくなってしまったといいます。

三大治療法その他の治療法を試してもなお効果がなかった患者に対しての治療効果ですから、がん患者にとって悲願の薬といっても過言ではないでしょう。

免疫チェックポイント阻害剤療法を
行っているクリニック

  • 抗PD-1抗体(オプジーボ・ニボルマブ)を使った 湘南メディカルクリニックの
    「アクセル+ブレーキ療法」

    費用
    21,000円(税込)
    (免疫チェックポイント阻害剤治療1回の価格)
    湘南メディカルクリニック(サイトイメージ)
    免疫細胞にかけられた攻撃を解除!がん細胞を効率よく殺傷

    免疫チェックポイント阻害剤は「がん細胞が免疫細胞にブレーキをかけている状態」を解除するものです。一方、これまでに試行錯誤が繰り返されてきた免疫療法は、免疫細胞の攻撃力や殺傷能力をあげる「アクセル」ということができます。 免疫チェックポイント阻害剤で「ブレーキ」をはずし、NK細胞療法やT細胞療法で「アクセル」を踏む『アクセル+ブレーキ療法』が、これからのがん治療の場で求められるはずです。 湘南メディカルクリニックにおいては、NK細胞の活性化(アクセル)とがん細胞の抑制(ブレーキ)を同時に行う治療を取り入れています。同時に行うことで、NK細胞の活性化もしやすく、がんも弱体化し反撃できない為、効率よくがんを死滅させることができます。 これまでの免疫細胞療法の歴史や症例を踏まえた今だからこそ実現することができた、新たな免疫細胞療法が、この『アクセル+ブレーキ療法』だといっても過言ではありません。

    ブレーキ+アクセル療法の詳細を見る
  • 免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体)による 東京MITクリニックの
    免疫治療法

    費用
    216,000円(税込)
    (免疫チェックポイント阻害剤治療1回の価格)
    東京MITクリニック(サイトイメージ)
    キラーT細胞の攻撃を弱めずにがん細胞と闘う

    がん細胞はキラーT細胞の働きにブレーキをかけてしまう「PD-L1」というたんぱく質を作り出します。一方、「PD-L1」が出現することでキラーT細胞の表面に「PD-1」というたんぱく質があらわれます。「PD-1」はキラーT細胞の攻撃力を弱めてしまう働きがあるため、「PD-1」がキラーT細胞と結合する前に、別の物質を結合させることで、がん細胞への攻撃力を維持するという治療法が考案されました。 この別の物質というのが、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1モノクロナール抗体)です。免疫チェックポイント阻害剤によって、キラーT細胞のがん細胞への攻撃が弱まらず、効果的にがん細胞を殺すことができるのです。 東京MITクリニックでは、その他の免疫療法との併用は行わないという方針に基づき、免疫チェックポイント阻害剤治療を実施しているとのことです。

    免疫チェックポイント阻害剤の詳細を見る