免疫チェックポイント阻害薬:イミフィンジの効果と特徴

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今注目を集めている「イミフィンジ」とは

非小細胞肺がんに用いられる免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬のひとつであるイミフィンジは、切除不能なステージⅢの非小細胞肺がん治療において2018年に承認された治療薬です。がん細胞が免疫細胞の働きを止めてしまうのを阻害し、免疫細胞が再度がん細胞を攻撃できるように働きかけることでがん細胞の増殖を抑える作用が期待されています。この記事では、イミフィンジの特徴や使い方、注意すべき副作用について見ていきましょう。

イミフィンジの概要

一般名称 デュルバルマブ(遺伝子組換え)
形状 注射剤
分類 免疫チェックポイント阻害薬
商品名・薬価
  • イミフィンジ点滴静注120mg(アストラゼネカ):115,029円/瓶
  • イミフィンジ点滴静注500mg(アストラゼネカ):467,245円/瓶
適応する症状
  • 切除不能な局所進行の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法

イミフィンジの特徴

イミフィンジは、切除不能な局所進行(ステージⅢ)非小細胞肺がんに対する治療薬として日本で初めて承認された抗PD-L1抗体です。イミフィンジを使用するにあたっては、どのような作用を持つのか、そしてどのような使い方をするのかといったことについてあらかじめ理解をしておくことが大切です。

イミフィンジの効果

人の体には、体内に侵入したウイルスや細菌、がん細胞を攻撃し、体を守るという免疫機能がもともと備わっています。しかし、がん細胞はその表面にPD-L1と呼ばれる物質を作り出すことができ、このPD-L1は免疫細胞が持つPD-1と呼ばれる物質と結びつきます。この2つが結びつくことにより、がん細胞は免疫細胞によるがんの攻撃をストップさせる命令を出すことができるため、がん細胞が増殖していきます。
イミフィンジを投与すると、がん細胞のPD-L1と結合することができます。するとがん細胞が出す「免疫細胞に攻撃をストップさせる」ための命令を阻止できることから、免疫細胞ががん細胞を再び攻撃できるようになり、がん細胞の増殖を抑えられるという作用が期待されています。

イミフィンジの開発の経緯

イミフィンジは2018年7月に「切除不能な局所進行の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法」を効能・効果として製造販売が承認された治療薬です。

非小細胞肺がんにおいては、ステージⅢの患者が約3分の1というデータがあり、日本では非小細胞肺がん全体の17.2%がステージⅢの状態とされています。また、世界では中国、フランス、ドイツ、イタリア、日本、スペイン、英国および米国において約10万5千人が罹患しているというデータも示されています。

しかし、ステージⅢの非小細胞肺がんは、は、約20年の間治療進展が見られなかったという背景があり、治療薬の開発が待たれていました。イミフィンジが2018年に承認されることによって、ステージⅢの非小細胞肺がん治療の可能性が広がることが期待されています。

また、イミフィンジにおいては現在もさまざまな研究が行われています。具体的には非小細胞肺がんや小細胞肺がん、尿路上皮がん、頭頸部がん、肝細胞がんなどにおける固形がんの1次治療として、単剤療法ならびに、化学療法、放射線療法、低分子化合物およびトレメリムマブ(抗CTLA-4モノクローナル抗体)との併用療法が検討されています。

イミフィンジの使い方

イミフィンジは、2週間ごとに60分以上かけて投与されます。投与する量は患者の体重によって決定されますが、投与期間は12ヶ月までと定められています。

イミフィンジと他の薬の併用

イミフィンジは、ほかの抗悪性腫瘍剤との併用において有効性および安全性は確立していません。

イミフィンジの副作用・安全性

イミフィンジを投与することにより、本来期待されている作用とは別に、望ましくない作用(=副作用)が見られることがあります。投与を行う中ではさまざまな副作用が想定されますが、どのような症状が出るかは人によって大きく異なる部分となってきます。
いずれにしても、治療を行う中で副作用と考えられる症状が出た場合には、できるだけ早く適切な処置を受けることが必要になるため、どのような副作用があらわれる可能性があるのかをあらかじめ知っておくことが大切です。また、投与を行っている期間、また投与後にも体調の変化などを記録に残しておくと良いでしょう。

可能性のある重篤な副作用

間質性肺疾患(放射線性肺臓炎を含む) 間質性肺疾患(放射線性肺臓炎を含む)(13.9%)があらわれることがあります。そのため、異常が認められた場合には、イミフィンジの投与を中止するなどの適切な処置を行います。
大腸炎、重度の下痢 大腸に炎症が起こることにより、大腸炎(0.4%)、重度の下痢(0.4%)があらわれることがあります。投与の際には患者の状態を十分に観察し、持続する下痢、腹痛、血便等の症状が認められた場合には、本剤の投与を中止するなどの適切な処置が必要です。
甲状腺機能障害 甲状腺機能低下症(10.5%)、甲状腺機能亢進症(6.9%)などの甲状腺機能障害があらわれることがあります。患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、イミフィンジを休薬するなどの適切な処置を行います。
副腎機能障害 副腎機能不全(0.2%)などの副腎機能障害があらわれることがあります。患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、イミフィンジを休薬するなどの適切な処置を行います。
下垂体機能障害 下垂体機能低下症(頻度不明)などの下垂体機能障害があらわれることがあります。そのため、患者の状態を観察し、異常が認められた場合には、イミフィンジを休薬するなどの適切な処置を行います。
1型糖尿病 1型糖尿病(0.2%)があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシスに至るおそれがあるので、口渇、悪心、嘔吐等の発現や血糖値の上昇に十分注意が必要となります。投与中に1型糖尿病が疑われた場合にはイミフィンジを休薬し、インスリン製剤を投与するなどの適切な処置を行います。
肝機能障害、肝炎 肝臓の細胞が障害されることによってAST、ALT、γ-GTP、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害(3.6%)、肝炎(0.6%)があらわれることがあります。そのため、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、イミフィンジの投与を中止するなどの適切な処置が必要です。
腎障害 腎臓に炎症が起こることにより尿細管間質性腎炎(頻度不明)、糸球体腎炎(0.2%)などの腎障害があらわれることがあります。そのため患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、イミフィンジの投与を中止するなどの適切な処置を行います。
筋炎、横紋筋融解症 筋肉に炎症が起こることにより、筋炎(頻度不明)、横紋筋融解症(頻度不明)があらわれることがあるため、筋力低下、筋肉痛、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇などの観察を十分に行います。異常が認められた場合には、イミフィンジの投与を中止するなどの適切な処置が必要になります。
インフュージョンリアクション イミフィンジの投与中や投与後に、皮膚が赤くなる・発疹・発熱・寒気・息切れ・めまいなどのインフュージョンリアクション(1.7%)があらわれることがあります。そのため、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、イミフィンジの投与の速度を遅くしたり、投与を中止するなどの適切な処置を行うことが必要です。

その他の副作用について

表で紹介している特に注意すべき副作用のほか、下記に挙げているような副作用の症状があらわれる可能性があります。そのため、イミフィンジの投与中また投与後に、下記に当てはまる症状が出た場合には、医師や看護師にその旨を伝え、適切な対処を行う必要があります。

  • 皮膚(発疹、そう痒症、皮膚炎)
  • 呼吸器(咳嗽・湿性咳嗽、肺炎、発声障害、上気道感染、インフルエンザ)
  • 口腔内(口腔カンジダ、歯周病(歯肉炎、歯周炎、歯感染)、口腔感染)
  • 内分泌(TSH上昇、 TSH低下、尿崩症)
  • 腎・泌尿器(末梢性浮腫、排尿困難)
  • 消化器(下痢、腹痛)
  • その他(発熱、筋肉痛、寝汗)

さまざまな症状があらわれる可能性がありますが、いずれにしても気になる症状がみられた場合には、市販の薬などを飲むなど自己判断による対処は行わずに、医療機関で早めに対処することが必要です。また、主治医以外の医療機関で治療を受ける際には、イミフィンジによる投薬を行っていることを伝えることが大切です。

使用上の注意について

イミフィンジは、すべての人に投与できるわけではありません、中には投与が禁忌とされている人、投与にあたって慎重な判断が必要とされる人もいます。ここでは、どのような人が注意する必要があるのかをご紹介します。

禁忌(投与ができない人)

イミフィンジの使用においては、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと」とされています。そのため、これまでにイミフィンジに含まれる成分に対して過敏症の症状があらわれたことがある人の場合には投与することができません。

慎重投与が必要な人

下記の条件に当てはまる場合は、イミフィンジの投与については慎重に検討する必要があります。
●自己免疫疾患の合併または慢性的もしくは再発性の自己免疫疾患の既往歴のある患者
自己免疫疾患とは、普段は自分を攻撃することがない免疫が、自分自身の正常な細胞や組織に対して攻撃を加えてしまう疾患のことです。例えば潰瘍性大腸炎や1型糖尿病、バセドウ病、橋本病、重症筋無力症など多くの種類がありますが、イミフィンジを投与することによって自己免疫疾患が悪化するおそれがあるため、投与する場合は慎重に行う必要があります。
間質性肺疾患(放射線性肺臓炎を含む)のある患者またはその既往歴のある患者
空気を取り込むための肺胞の壁やその周辺に炎症を起こす間質性肺疾患の患者、またはこれまでに間質性肺疾患にかかったことがある人については、イミフィンジの投与が慎重に検討されます。これは、投与により間質性肺疾患(放射線性肺臓炎を含む)が発現または悪化するおそれがあるためです。

高齢者への投与について

一般的に高齢者は生理機能が低下している場合が多いため、投与の際には患者の状態をよく確認しながら行う必要があります。

妊婦、産婦、授乳婦などへの投与について

イミフィンジを妊娠中の女性に投与した場合における安全性は確立されていないため、妊娠中または妊娠の可能性がある女性に対しては原則として投与を行いません。ただし、治療上の有益性が投与による危険性を上回っていると判断された場合にはやむを得ず投与する場合があります。
また、妊娠する可能性がある女性については、イミフィンジを投与している期間中または投与終了後一定期間は適切な避妊方法を用いるように指導されます。
また、授乳中の女性については、授乳を中止する必要があります。

小児への投与について

低出生体重児や新生児、乳児、幼児、小児に対するイミフィンジ投与の安全性・有効性は確立していません。

イミフィンジ使用者の体験談

咳がひどくて治らなかった年末〜今年1月あたりは本当に辛そうで、どうなるのかと心配しましたが、その辛い時期も主人は働きながら頑張って乗り越えてくれました。放射線トモセラピーも、抗がん剤も、イミフィンジも効果を発揮。肺の炎症など副作用は出たものの、今のところガンをやっつけてくれています。この日、無事に11回目のイミフィンジを点滴できました。

引用元:イミフィンジ11回目〜CT撮りました | 肺がん ステージ3b 負けるもんか!

参考文献・参考サイト