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2 サイトカイン療法

さらに攻撃性を高めた免疫療法の第二世代「サイトカイン療法」

サイトカイン療法とは、免疫療法の世界では第二世代と呼ばれ、初期の治療法です。第一世代のBRM療法で期待された効果「免疫力を高める」というステージを抜け、「免疫細胞の機能を高める、免疫細胞を刺激する」治療法へと移り変わります。

1980年代に発表されたインターフェロンが皮切りのサイトカイン療法。複数の種類の免疫細胞が情報伝達をするために発する物質であるサイトカインで、免疫細胞を直接刺激することにより、それらが持つ攻撃性を増加することに成功したのです。

サイトカインとは

サイトカインとは、細胞から分泌され強い生体反応を起こす物質の総称です。これは情報伝達物質とも呼ばれ、ヘルパーT細胞がCTL細胞を活性化するために放出する物質をインターフェロン、樹状細胞がNK細胞やT細胞を活性化するために放出する物質をインターロイキンと呼んでいます。

免疫細胞同士がやりとりをする、会話や言語と表現してもいいでしょう。

サイトカイン療法で使われるたんぱく質の種類 Type and Feature

サイトカインとは、細胞同士が情報交換をする際に使われる物質です。

ある細胞がサイトカインを生み出すと、次に動き出す細胞が表面の受容体でキャッチします。すると、キャッチした細胞が分子反応を起こし、体内に入り込んだ異物やがん細胞を攻撃しはじめます。

以下のようなサイトカインが、免疫細胞の持つ攻撃性をプラスします。

  • Type 1 インターロイキン2

    インターロイキン2(IL-2)は、抗原から刺激を受けたT細胞が分泌するサイトカインです。NK細胞やT細胞、B細胞などの免疫細胞が持つ受容体と結びつくことで、それらの細胞にサインを送ります。

    インターロイキン2を受け取った細胞は増殖をはじめたり、抗体を作り出す機能を活性化したり、がんを攻撃する働きを強めます。がん細胞を激しく攻撃することで知られる細胞傷害性T細胞(CTL)を発生させる働きが確認されており、インターロイキン2はがん治療に有用なサイトカインとして知られるようになりました。

  • Type 2 インターロイキン12

    インターロイキン12(IL-12)は、主にB細胞やマクロファージによって生み出されるサイトカインです。NK細胞やT細胞を増やし、さらに攻撃性をプラスします。また細胞傷害性T細胞(CTL)を発生させる働きもあります。

    マクロファージからインターロイキン12を受け取ったヘルパーT細胞は、B細胞へ抗体を生み出すように指示を出すと同時に、キラーT細胞を活性化し攻撃的に仕立て上げます。

  • Type 3 インターフェロン

    数あるサイトカインの中でも良く知られているのがインターフェロンです。ウイルスやがん細胞などが侵入したとき、それらに抵抗しようと細胞が出すタンパク質の一種がインターフェロンです。

    このインターフェロンは異物に対して攻撃的な性質を持つ細胞傷害性T細胞(CTL細胞)を活性化させ、がん細胞を破壊する行動をとります。免疫細胞が全体で攻撃態勢を整えるまでに時間がかかりますが、その間に異物やがん細胞が増えないように防御する役目を担っています。B型肝炎・C型肝炎の治療薬として用いられ、がんの治療にも用いられています。

  • Type 4 腫瘍壊死因子

    あまり聞き慣れないサイトカインに、腫瘍壊死因子があります。腫瘍壊死因子は、抗がん性を持ったホルモンで、マクロファージによって作られます。

    その働きは、増殖し固形をなすがんを出血させ、壊死させるものとされましたが、のちに炎症に深く関わるものであるとも判明。発表された1970年代において、がん細胞を殺傷する力がもっとも強力とされ、一躍有名になりました。いくつかの種類のがん治療で研究が進んでいるサイトカインのひとつです。

    ただし、腫瘍壊死因子は筋肉の中のタンパク質を減らしてしまうことがあり、これが副作用として疲労感を招く原因とされています。

サイトカイン療法の効果

1980年代当時、BRM療法に続く「第二世代」の免疫療法として大きな期待を背負ったサイトカイン療法ですが、インターフェロンのみでは思ったほどの効果があがらなかったこと、多発性骨髄腫や白血病などの血液がん、脳腫瘍、腎がんなどの一部でしか良いデータが得られなかったことから、がん治療において決め手とはなりえませんでした。

また、サイトカインは非常に強力な働きを持っているため、体外からの摂取により強い副作用を引き起こすことがあることも、がん治療の現場で一般化しなかった理由のひとつともされています。

しかしながら、サイトカインのひとつであるインターフェロンは、多発性骨髄腫や白血病や脳腫瘍、腎臓がんにも用いられる認可薬となっており、特定の症状において一定の効果は認められています。

現在のサイトカイン療法

サイトカイン療法そのものは、免疫療法の「第二世代」とされ忘れ去られようとしていますが、なくなったわけではありません。今ではその様相も変わりましたが、免疫細胞を培養して増やしたり攻撃性をプラスしたりする、「第三世代」「第四世代」の免疫細胞療法の母となったのです。

免疫細胞を患者の体内から取り出し、特定のサイトカインで刺激し培養すると、リンパ球やNK細胞を増殖させることができます。また、患者の体内から取り出した若い樹状細胞をサイトカインで分化させ、そこに非活性化した患者のがん細胞を与えることでがんの情報を学ばせることもできます。

これらの「第三世代」「第四世代」の免疫細胞療法は、サイトカインの発見、研究なくしては実現できませんでした。最新の免疫細胞療法のほとんどでサイトカイン療法の原理が用いられています。サイトカイン療法は第二世代として失われたものではなく、未だに現役だと言えます。

サイトカイン療法療法とあわせて
知っておきたい免疫チェックポイント阻害剤
Future

これまでの免疫療法は、免疫細胞を増やしたり免疫機能の攻撃力を高めるものが主流でした。いわゆる「第二世代」から「第三世代」のあたりのことです。

ところが最近、がん細胞自身が免疫の動きにブレーキをかけ、その攻撃を阻止していることが明らかになりました。そのブレーキとなる仕組みを働かせなくすることによって、再び免疫細胞の働きを活発にする新たな治療法が開発されたのです。

最新の免疫療法として、「免疫チェックポイント」と呼ばれる免疫の動きにブレーキをかけるシステムを阻害する免疫チェックポイント阻害剤が、治療の場で用いられるようになってきました。

がん細胞が免疫細胞の動きを封じていたという事実の判明、そしてそれを阻害する薬の開発によって、免疫細胞療法はさらに進化したのです。