免疫細胞療法の種類とそれぞれの役割を解説

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がんの3大治療と免疫療法の関係

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よくわかる
免疫細胞療法の種類

免疫細胞療法は、がんの「第4の治療法」

人間の身体には、体外から異物が入ってくると、その異物(抗原)を攻撃し排除しようとする力があり、これを免疫力といいます。がん細胞に対しても免疫力が立ちはだかり、その増殖を抑制しようとする働きをします。

この免疫力を増強することによって、がんに対抗し、克服しようとする治療法が、免疫療法(免疫細胞療法)です。

元々自分の身体に備わっている力(免疫力)を最大限に引き出す治療法なので、身体への負担も少なく、副作用もほとんどないのが最大の特徴です。

では、その免疫療法の主役である、免疫細胞についてご説明します。

Type of Method 免疫細胞療法の
主役となる細胞の
種類と役割

日頃意識しなくても、免疫細胞は私たちの身体を守ってくれているのですが、数ある免疫細胞のそれぞれの役割は多様です。免疫細胞療法では、免疫細胞の性質や役割をうまく使い分けています。

おおまかに「がんから健康な細胞をガードするもの」「がんを攻撃するもの」に分類できますが、それでもまだ説明が足りません。

がん治療などの免疫療法で用いられている代表的な免疫細胞を紹介します。

NK(ナチュラルキラー)細胞

他の細胞の型をチェックし、自身と違うものに対して攻撃を加える性質を持っています。身体の中のパトロール隊といった存在で、比較的早期に攻撃を仕掛けるので「生まれつき(natural)の殺し屋(killer)」と呼ばれます。

T細胞

何らかのウイルスに感染してしまった細胞に攻撃するのがT細胞です。T細胞と呼ばれるものにはいくつかの種類があり、それぞれのT細胞同士が連携を取りながら細菌やウイルス、がん細胞などと戦います。

  • キラーT細胞

    司令塔である樹状細胞から指令を受け取り、がん細胞やウイルス感染を起こした細胞に攻撃をしかける細胞がキラーT細胞。その名の通り「殺し屋」の役目を持っており、攻撃性の高い免疫細胞として知られています。

  • ヘルパーT細胞

    樹状細胞などから発せられた異物(抗原)に関する情報を受け取ると、どのように攻撃するかを検討し、その指示をNK細胞やキラーT細胞に与えます。攻撃役の細胞のアシストをすることから「ヘルパーT細胞」と呼ばれます。

  • 制御性T細胞

    攻撃に長けたキラーT細胞が暴れすぎて、正常な細胞にまで余計な攻撃をしないようにするのがこの抑制性T細胞の働きです。免疫反応を止めたり終了させる役割をもつことから「抑制性T細胞」とも呼ばれます。

  • ガンマ・デルタT細胞

    抗原を必要とせず、細菌やウイルスに感染した細胞やがん化した細胞にあらわれる変化を見分け、単独で自ら攻撃を仕掛けることができるのが特徴です。がん細胞に対して、極めて高い殺傷能力を持っています。

  • NKT細胞

    その名の通り、NK細胞とT細胞の特徴を掛け合わせたような性質の免疫細胞です。体内から排除しなければならない細胞を、直接的に、また間接的に攻撃するタイプの細胞です。「ナチュラルキラーT細胞」とも呼ばれます。

  • B細胞

    免疫細胞が免疫細胞たる働きをするために必要な抗体を生み出す細胞。攻撃性は高くありませんが、白血球内リンパ球のうち2~4割を占める免疫細胞で、抗体遺伝子組み換えによって様々な抗体を作るという特技があります。

  • マクロファージ

    アメーバ状の細胞で、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を捕まえて細胞内で消化し、それらの異物に対抗するための情報をT細胞に伝える働きがあります。その際にサイトカインという物質を作り出します。

  • 樹状細胞(DC細胞)

    木の枝のように見えるところから名がついた樹状細胞は、異物が入り込みやすい位置(鼻・皮膚・肺など)にあり、異物を取り込んでその情報を分析します。異物の特徴をつかんだら、他の免疫細胞に伝達する司令塔の役割を担います。

免疫細胞療法の種類

免疫細胞は私たちの身体が元々持っている攻撃部隊です。外敵を感知し情報を分析し指令を出す細胞、その指示を受けて攻撃をはじめる細胞、自らパトロールをする細胞など、免疫細胞の役割は様々。それらの免疫細胞の特質や性質をパワーアップさせて、細菌やウイルス、がん細胞などの異物に対抗しようというのが免疫細胞療法です。

では、具体的にどのような免疫細胞療法があるのでしょうか。上記の免疫細胞の特徴とあわせてお読みください。

免疫細胞療法の選び方

免疫細胞療法に関する研究結果や技術開発は、他の様々な病気の薬剤や治療法の開発と同様に日進月歩です。どの治療法が最もよいとか、最新であるということはありません。

がんといっても発症部位や状態は人それぞれで、体質や体調も千差万別です。状態の異なる患者さんに対してどの治療法が適するかを見分けることが最も重要なのです。免疫細胞療法の決定にあたっては、免疫療法の専門医師と相談することが絶対条件です。

最近では攻撃性の高いT細胞にブレーキをかける物質が発見され、そのブレーキをはずす工夫を施した「免疫チェックポイント阻害剤」を使用した治療もあります。この免疫チェックポイント阻害剤によってがん治療が劇的に変わりつつあります。この治療法に注目してみてはいかがでしょうか。

免疫チェックポイント阻害剤のさらに詳しい情報はこちら