タマネギはがんに効く?研究データを詳しく解説

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タマネギはがんに効く?

私たちにとって、もっとも身近な野菜のひとつであるタマネギ。さまざまな健康効果があると言われていますが、実はがんに対する効果も徐々に判明してきました。中でも、特に大腸ガンや胃がんといった消化器系のがん予防に役立つと言われています。

なぜタマネギにそのような働きがあるのか、これまで報告されてきたいくつかの研究をもとに、タマネギが持っているパワーについて見ていくことにしましょう。

タマネギとは

私たちの食生活に欠かせない野菜のひとつでもあるタマネギ。日本で本格的な栽培が始まったのは明治時代で、比較的新しい野菜と言えますが、古代エジプトではピラミッド建設に携わっていた労働者の間でも食べられていたというほど古くからある野菜です。

タマネギの起源は西アジアという説もありますが、中央アジア・シルクロードの周辺地域という説もあります。いずれにしろ、古くから広い地域で食されていたということには変わりありません。現在でも、中央アジアやインド、エジプトなどでは野生種に近い原始的な品種が作られています。

今では非常に身近な野菜となり、日本のスーパーでは一年を通していつでも並んでいますね。タマネギは日本中で栽培することができるため、旬はほとんどないとも考えられますが、一般的に「新タマネギ」の旬は春です。ちなみに日本で最も多く栽培されているのは北海道で、2位は佐賀県となっています。

タマネギにはポリフェノールが豊富に含まれる

タマネギにはさまざまな種類があるので品種によっても異なりますが、豊富なポリフェノールが含まれていることが特徴です。一般的に赤タマネギはポリフェノールの量が多く、黄タマネギがその次。白タマネギにはあまり含まれていないと言われています。

ポリフェノールには強い抗酸化作用があり、体内の活性酸素除去、細胞の老化抑制、血圧の上昇抑制などの効果が期待されています。

高脂血症や高血圧に対する予防・改善効果

よく「血液をサラサラにするためにタマネギを食べよう」と言われていますよね。これは、タマネギに含まれる「硫化アリル」という物質の働きを根拠としたもの。硫化アリルには、動脈硬化など予防する作用があると報告されているほか、消化液の分泌を助けることによって食欲を増進させたり、ビタミンB1の吸収と活性化を促すという作用があると言われています。

がんとの関連にも注目されている

タマネギとがんの関連性にも注目が集まっています。これは、近年の研究によりタマネギには胃がんや大腸がん、食道がんなど「消化器系のがん」に対して予防効果があると考えられているからです。

タマネギががんに効果的とする科学的根拠

タマネギは私たちの生活において非常に身近な存在となっている野菜ですが、その効果に関する研究も数多く行われています。ここでは、タマネギとがんの関連性についての研究をいくつか取り上げてご紹介していきます。

タマネギの有効性を示唆する研究

タマネギには大腸がんの細胞を「自殺(アポトーシス)」に追い込む力があるという報告が行われています。この研究は、カナダのオンタリオ州にあるゲルフ大学のスレシュ・ニーシラジャン教授らのグループによって行われたもの。下記にその内容をご紹介します。

ニーシラジャン教授らは、人間の大腸がんの細胞を培養した容器の中に、オンタリオ州で採れる5種類のタマネギから抽出した「ケルセチン」を投入して比較した。すると、いずれの容器でも大腸がんは「アポトーシス」(細胞自死)と呼ばれる細胞の自殺現象を起こした。5種類のタマネギの中でも「赤タマネギ」が最も強力にがん細胞を殺したという。

「アポトーシス」は古くなったり、傷ついたりした細胞が自動的に崩壊し、バラバラになったタンパク質が新しい細胞の材料に使われる現象だ。あらかじめ細胞の中に、アポトーシスのプログラムが埋め込まれているといわれる。ニーシラジャン教授は「どういうメカニズムか不明だが、ケルセチンが、がん細胞が持っているアポトーシスのプログラムに作用し、自殺に追いやったとみられる」と推測している。

引用元:J-CASTニュース「タマネギに大腸がんの細胞を殺す力が! カナダ研究、色が濃いほどパワーアップ」

この研究は、タマネギが持つポリフェノールのひとつであり、強い抗酸化作用を持つ「ケルセチン」の働きについて調査したものです。ここでは5種類のタマネギを使用していますが、研究結果より「色の濃いタマネギ」であるほどがん細胞に対する効果が強くなる、と結論付けています。

タマネギの中には赤い色のものがありますが、この赤い色は「アントシアニン」と呼ばれる色素によるものであり、このアントシアニン自体も強い抗酸化作用を持っています。さらに、アントシアニンによるケルセチンの活性作用もあるため、色の濃いタマネギの方がケルセチンの作用が強くなると考えられているのです。

この研究報告において、ゲルフ大学のニーシラジャン教授は下記の通りコメントしています。

タマネギは、がん細胞が細胞死を起こす経路を活性化させ、がん細胞を殺す能力に優れていることがわかりました。この発見は、化学物質を使わなくても、タマネギの成分ケルセチンを抽出し、栄養補助食品や丸薬の形でがんとの戦いに利用できる道を開くものです。また、大腸がんだけでなく、乳がん細胞を殺すのに有効な可能性もあります。今後、人間を対象にした臨床研究を進めたいと思います。

引用元:J-CASTニュース「タマネギに大腸がんの細胞を殺す力が! カナダ研究、色が濃いほどパワーアップ」

また、熊本大学の研究によると、「Onion A(ONA)」と呼ばれるタマネギから分離した天然化合物に複数の抗がん作用があると発表されています。この研究は、卵巣がんを発症しているマウスやヒト・マウスの培養細胞を用いてONAの治療効果を検討したもの。研究を進めるうちに、ONAには抗がん作用があることが判明してきました。

卵巣がんをはじめとする多くのがんでは、がんの増殖を促進する「ミエロイド細胞(免疫細胞の仲間)」が体の中や病変部位で増加することになります。このミエロイド細胞の転写因子である「STAT3」が活性化すると、ミエロイド細胞によるがんの増殖や進展が誘導される上に、がんに対する免疫反応も抑制してしまうのですが、ONAはこの転写因子を抑制する働きを持っています。

なお、ONAはがん細胞の増殖を直接抑える働きも持っており、さらに抗がん剤の効果を増強することもわかっています。この研究では、卵巣がんモデルマウスにONAを経口投与することによって生存期間が伸び、卵巣がんの進展を阻害するということも確認されました。

ONAががん細胞の活性化を誘導するミエロイド細胞を妨害することによって、卵巣がんの進行を抑えることが明らかになりました。ONAは更に、ミエロイド細胞の免疫抑制機能を無効化することにより、がんに対する免疫応答を活性化すると考えられます。ONAは正常の細胞にとってはほとんど無害でありながら、抗がん剤を増強する可能性がありました。現在のところ、動物実験では副作用が見られていません。本研究はタマネギががん予防やがん治療に有効であることを示唆する一つの科学的根拠になります。

引用元:EurekAlert! Science News「タマネギ由来の天然化合物に抗がん作用」

以上のように、タマネギとがんの関連については、さまざまな研究が行われています。

タマネギの摂取方法

日常的にタマネギを摂取しているという人も多いはず。ただし、食べ方によっては、せっかくの栄養をうまく摂取できていないかもしれません。そこで、タマネギの上手な食べ方をご紹介します。

切った後にしばらく置いておく

タマネギを切った後、すぐに調理する人も多いでしょう。しかし、常温で置いておくとアリシン様物質が硫化プロペニルに変化し、血流を改善させる働きがアップすると言われています。そのため、料理の際には前もってタマネギを切っておくと良いでしょう。

水にさらさずに調理する

上記で説明してきた通り、がんとタマネギの関連において重要な役割を果たす「ケルセチン」は水に溶けやすいという性質を持っています。辛味を抑えるために水にさらす人もいるかもしれませんが、水にさらしてしまうとケルセチンの成分が失われてしまうことになるので注意しましょう。

5分間水にさらすだけで、約5割のケルセチンが失われてしまうというデータもあります。そのため、汁ごと食べられるシチューやスープに取り入れるのがおすすめです。

油と一緒に食べるのもおすすめ

タマネギを食べる時には、油と一緒に食べるとケルセチンの吸収率がアップします。油は普通のサラダ油でも問題ないので、タマネギのかき揚げなどもおすすめ。単体で食べるよりもさらに吸収されるため、ぜひ油と一緒に摂取するようにすると良いでしょう。

参考文献・参考サイト