牛乳はがんに効く?研究データを詳しく解説

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牛乳はがんに効く?

日本だけではなく、世界中の国々で愛されている牛乳。料理に用いられたり、ヨーグルトやチーズの原料となったり、飲料としてだけではなく、様々な形で私たちの食生活を豊かに彩ってくれています。

ここでは、そんな牛乳によるがんの予防・改善作用、理想的な摂取方法などについて詳しくご紹介しています。

牛乳とは

牛乳

牛乳とは、牛から採取される乳汁のこと。日本では、成分を調整せずに殺菌を施した牛の乳汁のことを牛乳と呼んでいます。

古くから健康に良いと言われ、多くの人たちに愛されてきた牛乳。一般的には豊富なカルシウムやたんぱく質による健康効果などが有名ですが、近年の研究報告により、牛乳にはがんの予防・改善効果が期待できることが分かりました。

以下、牛乳によるがんの予防・改善効果について、各種の研究報告も引用しながらご紹介します。

がんに対して効果的とする科学的根拠

牛乳に含まれるタンパク質は免疫細胞の材料

がんの免疫療法とは、患者自身の免疫力を増強してがん細胞を除去する、という治療法。免疫力を増強するためには、免疫細胞を増やし、活性化させることが前提となります。

免疫細胞の主要な材料となるものは、タンパク質。タンパク質なくして免疫機能は向上しない、ということです。数ある食材の中でも、タンパク質を多く含むことで知られる牛乳を習慣的に摂取することは、免疫力増強のベースとなると考えることができます。

カルシウムによる大腸がん予防効果は「ほぼ確実」

牛乳に豊富に含まれていることで知られるカルシウム。世界中の疫学研究をまとめた報告書では、カルシウムによる大腸がんの予防効果が「ほぼ確実」と記載されています。

以下、国立国際医療センター研究所国際保健医療研究部部長・溝上哲也氏のコメントを引用してご紹介します。

1990年代後半以降に発表された欧米の前向き大規模研究から、カルシウムが大腸がんの発生リスクを低下させるという報告が相次いで発表されていました。また欧米では、大腸腺腫を取り除いた人達を対象に、カルシウムのサプリメントかプラセボ(偽薬)のどちらかを飲ませる介入研究も行われ、カルシウム服用群で腺腫の再発が少なかったという結果も報告されていました。このような研究結果から、世界がん研究基金と米国がん研究所が10年ぶりに改訂した2007年の報告書では「カルシウムはほぼ確実に大腸がんを予防する」という結論に至っています(表1)。カルシウムを多く含む牛乳についても同じ判定結果でした。

「食品、栄養、身体活動とがん予防:世界的視野から」報告書(2007)

引用元:一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会「カルシウムとビタミンDの大腸がん予防効果」

カルシウムによる大腸がん予防のメカニズムについて、溝上氏は、「体内におけるカルシウムと二次胆汁の結合」を一説として紹介しています。両者の結合により、発がんを促す二次胆汁が無毒化されて排泄される、という見解です。

免疫力の活性化によるがん予防とは異なりますが、牛乳とがん予防との関係においては注目しておきたい内容です。

牛乳の加工品・ヨーグルトには免疫活性作用がある

牛乳の関連食品として、ヨーグルトに注目してみましょう。ヨーグルトに含まれている乳酸菌は、すでに世界中の研究を通じ、その免疫活性作用が報告されています。

私たちの腸内には善玉菌などをはじめとする無数の細菌が存在しますが、それらは腸内の壁面にお花畑のように密集しているため、「腸内フローラ」と呼ばれます。また、私たちのカラダに備わる免疫機能もその多くが腸内に集中しています。乳酸菌も細菌なので、体内に入れば異物として認識され、免疫系を活性化させます。

腸内フローラの中の細菌のバランスを最適に保つことが免疫機能を正常な状態に保つことにも繋がるため、乳酸菌をカラダに摂り入れることで、免疫力をアップさせることができるのです。

引用元:KIRIN「日常生活と免疫力の関係」

乳酸菌にはたくさんの種類があり、そのすべてが高い免疫活性作用を持つというわけではありません。ヨーグルトを通じてがんの予防・改善を目指す方は、免疫活性化が強いとされる乳酸菌を含んだ商品(※)を選ぶようにしましょう。

※免疫活性作用が強いとされる乳酸菌の例

  • プラズマ乳酸菌
  • SP-1酵母細胞壁
  • HK L-137
  • R-1(OLL1073R-1株)
  • L-92乳酸菌など

牛乳の摂取方法

習慣化することが大切

牛乳を通じてがんの予防・改善を図るためには、牛乳の摂取を習慣化する必要があります。思い立った日だけにたくさん飲むのではなく、毎日、決まった量を飲む習慣としましょう。

なお、厚生労働省では1日の牛乳の摂取目安量を200mlとしています。

牛乳に含まれる成分は加熱に強い

牛乳に含まれている主な成分は、タンパク質、カルシウム、ビタミンA、ビタミンB2などです。これら成分は、熱を加えてもほとんど変化しません。つまり、牛乳を加熱しても期待される効果に変わりがない、ということです。

牛乳をそのまま飲むだけではなく、様々な料理に積極的に活用していきましょう。

牛乳に関する注意点・リスク

牛乳を飲むだけでがんを予防・改善できるわけではない

「牛乳はパーフェクトフード」という噂を耳にしたことがある方もいるでしょう。

パーフェクトフードとは、人間が健康を維持していくために必要な成分を全て含んだ単一食材のこと。牛乳のほかにも、玄米や卵、納豆、ヨーグルト、ブロッコリーなどがパーフェクトフードと言われることがあります。

この噂の真偽は不明ですが、仮に牛乳がパーフェクトフードであったとしても、牛乳を飲んでいるだけ免疫力が急上昇してがんが治る、ということにはなりません。

がん予防・改善のためには、他の食材もバランス良く摂りつつ補助的に牛乳も摂取する、という姿勢が大切です。すでにがんと診断された方は、標準治療をベースに、主治医と相談のうえで適切な量の牛乳を摂るようにしましょう。

牛乳を飲み過ぎると大腸がんのリスクが上がる?

牛乳を飲み過ぎると大腸がんの発症リスクが高まる、とする疫学的調査があります。この調査結果に関し、一般社団法人Jミルクは、その公式HPにおいて次のようにコメントしています。

日本では1950年以降急激に脂肪、就中リノール酸の摂取量が増加し、これと呼応して1960年以降大腸癌の発生が急増している。(中略)牛乳の優れた栄養が評価され、消費が増える一方、飽食の時代に入って食生活が乱れ、油脂で加工した食品などが多くなり、通常の食事でも脂肪の摂取量が増加している。大腸癌の危険因子である脂肪と、直接は関係しない牛乳の消費が共に増えたために、牛乳がリストアップされてしまったものと理解される。

引用元:一般社団法人Jミルク「牛乳と病気に関するQ&A」

日本人の食生活の変化にともない、日本の食卓では、大腸がんのリスク要因である脂肪の摂取量が増加。時を同じくして牛乳の消費量も増えたことから「牛乳は大腸がん誘発のリスクがある」との疫学的な結果につながった、とJミルクでは考えています。

すでに上で解説したとおり、カルシウムの摂取量が多い地域では大腸がんの発症リスクが低下する、という疫学的調査も見られます。