青魚はがんに効く?研究データを詳しく解説

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青魚はがんに効く?

昔から健康に良い食品として有名な青魚。「健康のために青魚を食べましょう」と言われた経験がある人も多いのではないでしょうか。青魚が持つ栄養素はがん予防に対しても効果的だと考えられており、世界中で多くの研究が行われています。ここでは、青魚とがんの関連を調べた研究や調査報告を取り上げながら、その効果についてくわしく解説しています。

青魚とは

「青魚」と耳にする機会は多くありますが、実際にどんな魚が青魚かと聞かれると、あまりはっきりと答えられない人も多いのではないでしょうか。

青魚とは、例えばアジやサバに代表されるように「背中が青くて赤身」の総称。このことから、見た目で分けられた呼び名である、ということがわかります。

また、具体的な種類を挙げてみると、私たちの食卓に上がることの多い身近な魚がほとんどです。

青魚の種類

青魚の種類には、さまざまなものがあります。

  • サバ科:サバ、サワラ
  • アジ科:アジ、ブリ
  • サンマ科:サンマ
  • ニシン科:ニシン、イワシ、キビナゴ
  • タチウオ科:タチウオ
  • トビウオ科:トビウオ

サバやアジはスーパーでもよく見かけ、家庭料理にも頻繁に使用されています。これらは青魚の代表格と言っても良いでしょう。

一方

、普段それほど食べる機会のないタチウオやトビウオに関しては、青魚の仲間だと意識していなかった人も多いのではないでしょうか。

栄養が豊富

「肉ばかり食べていないで、青魚も食べなさい」と言われたことはないでしょうか?これは、青魚は非常に豊富な栄養を持っているからということが理由として挙げられます。

青魚には、ビタミン類が多く含まれていることが大きな特徴。例えば免疫力を向上させると言われている「ビタミンA」、疲労回復に役立つ「ビタミンB1」、脂質や糖質をエネルギーに変換してくれる「ビタミンB2」、カルシウムの吸収を助けてくれる「ビタミンD」などが含まれています。

また、ミネラルやアミノ酸、タウリン、カルシウム、鉄も豊富な点も青魚のいいところです。特に貧血気味の人には青魚がおすすめですが、これは青魚が持つ鉄分は「ヘム鉄」という吸収率の良い成分であること理由です。貧血を指摘されたり、そういった自覚を持っていたりする人は、積極的に青魚を摂取するように心がけると良いでしょう。

不飽和脂肪酸のDHAとEPA

また、青魚が健康に良いと言われている理由として、「不飽和脂肪酸であるDHAとEPAを多く含む」という点が挙げられます。

DHAとは

DHAとは、不飽和脂肪酸の一種で「ドコサヘキサエン酸」という成分です。DHAを摂取すると、「高血圧の予防」や「悪玉コレステロールが減少する」「中性脂肪が減少する」「記憶能力の向上」といった効果が期待できると言われています。

また、DHAは抗がん作用とアレルギー抑制作用を持つと期待されています。近年日本で乳がんや大腸がんが増えているのは青魚の摂取量が減ったからではないか、とも言われています。DHAは「プロスタグランジン」と呼ばれる発がん物質を抑える働きを持っているため、青魚を摂取することによってプロスタグランジンが増えないようにコントロールすることができると考えられています。

EPAとは

EPAも不飽和脂肪酸のひとつで、「エイコサペンタエン酸」と呼ばれる成分です。EPAの摂取によって期待されている作用は、「動脈硬化の予防・改善」「悪玉コレステロール減少」「中性脂肪減少」というものがあります。

この2つの不飽和脂肪酸は体内で作ることができないため、食べ物から摂取する必要があります。

青魚ががんに効果的とする科学的根拠

青魚とがんの関連については、世界中で多くの研究が行われています。日本では近年食生活の欧米化により魚の摂取量が減少しているという傾向がありますが、この摂取量の現象ががんの罹患率の上昇に関与しているのではないかという声もあがっています。

ここでは、いくつかの研究や調査結果を取り上げて、がんと青魚の関係に迫っていきましょう。

青魚の有効性を示唆する研究

まず、国立がん研究センターにより報告されている、肝がんと魚の摂取量の関連についての研究をご紹介します。

これは1990年と1993年に岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎、大阪に住んでいた人のうち45歳から74歳の男女約9万人を対象とし、魚とn-3不飽和脂肪酸摂取量と肝がんの発生との関連を調べたものです。

今回の研究対象に該当した男女約9万人のうち、11年の追跡期間中、398人が肝がんと診断されました。アンケートから計算されたn-3およびそれぞれ個別の不飽和脂肪酸摂取量によって、5つのグループに分けて、最も少ないグループに比べ、その他のグループで肝がんのリスクが何倍になるかを調べました。

その結果、n-3不飽和脂肪酸を多く含む魚、および、EPA,DPA,DHAといった魚に多く含まれているn-3不飽和脂肪酸を多くとっているグループほど、肝がんの発生リスクが低いことがわかりました。

肝がんの多くは、B型・C型肝炎ウイルスの感染者から発生します。従って、肝炎ウイルス陽性者に限った解析も行いましたが、結果は、ほとんど変わらず、特に、C型肝炎ウイルス陽性者にかぎると、n-3不飽和脂肪酸摂取量が多いと肝がんリスクの低下がみられました

引用元:国立研究開発法人 国立がん研究センター 「魚、n-3不飽和脂肪酸摂取量と肝がんとの関連について」

この結果から、n-3不飽和脂肪酸が持つ抗炎症作用が関係している可能性があると考えられます。肝がんの多くは、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスを原因とする慢性肝炎を経てがんを発症します。N-3不飽和脂肪酸が持つ抗炎症作用が慢性肝炎の炎症を抑え、結果として肝がんの発症を抑えているのではないかと考えられているわけです。

また、n-3不飽和脂肪酸が持つインスリン抵抗性の改善作用も肝がんリスクを低下させる可能性があるのではないかと言われています。国立がんセンターでは、同様に膵がんと魚介類、n-3多価不飽和脂肪酸摂取の関係についても調査を行いました。この調査の対象となったのは、がん罹患歴のない45~74才の男女約8万2千人。その結果、下記のような内容が報告されています。

アンケート調査回答時にはすでに膵がんに罹患していた可能性がある対象者(追跡開始3年以内に膵がんと診断)を除外して解析したところ、魚介類由来n-3 PUFA、DHAそれぞれ摂取量最小グループに比べて最大グループで約30%統計学的有意に膵がん罹患リスクの低下を認めました。また、EPA、DPAについても、最小グループに比べ、最大グループで膵がん罹患リスクが低下する傾向が見られました。

引用元:国立研究開発法人 国立がん研究センター「魚介類、n-3多価不飽和脂肪酸摂取と膵がん罹患との関連について」

肝がんと同様、膵がんが発生するメカニズムには慢性の炎症が関連しているとの報告があります。さらに魚介類由来のn-3 PUFA(EPA、DPA、DHA)は抗炎症作用、免疫調整作用があると考えられています。このことから、魚介類を多く摂取することで結果としてn-3 PUFAを多く摂取することになり、膵がん発生に関わっている慢性炎症が及ぼす影響が軽減されているのではないかと言われています。

青魚のがんに対する効果に否定的な研究結果

これまで、青魚のがんに対する効果を示唆する研究についてご紹介してきましたが、その有用性を否定する報告も行われています。

ここで紹介する研究報告も国立がん研究センターによるものですが、大腸がんと魚の摂取の関連を調査したものです。調査方法としては岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎に住んでいた40〜69歳の男女約9万人に、生活習慣に関するアンケート調査を実施。7年または10年間追跡調査を行い、魚の摂取と大腸がんの発生に関連性があるかどうかを調べたものです。

追跡期間中に705名の方が大腸がん(結腸456名、直腸249名)になりました。研究参加者を男女それぞれ魚の摂取量によって4つのグループに分け、最も少ないグループに比べその他のグループで結腸がん・直腸がんリスクが何倍になるかを調べました。大腸がんのリスクは年齢、喫煙、飲酒によって高まることがわかっていますので、あらかじめその影響を除いた上で、魚と結腸がん・直腸がんとの関連を検討しました。その結果、男性も女性も、魚の摂取量が多いグループで結腸がん・直腸がんのリスクは高くも低くもなりませんでした。

引用元:国立研究開発法人 国立がん研究センター「魚介類、n-3多価不飽和脂肪酸摂取と膵がん罹患との関連について」

また、同様に国立がん研究センターでは、魚の摂取と近年日本でも罹患率が上昇傾向にある乳がんの関連についても調査を行いました。上記の調査と同様の地域において、約3万8千人の女性を対象とし、魚の摂取と乳がん罹患の関係について調べたものです。

今回の研究の対象である38,234人を、2011年末まで約14年追跡したところ、556人が乳がんと診断されました。5年後調査のアンケート結果に基づいた魚、n-3及びn-6不飽和脂肪酸の摂取量を4つのグループに分け、グループ間での乳がん罹患リスクを比較しました。

分析にあたり、初潮年齢、出産回数、喫煙、飲酒状況など、乳がんに関連する他の要因のグループ間の差が結果に影響しないよう配慮しました。その結果、魚、n-3(EPA,DHA,DPA,ALAを含む)及びn-6不飽和脂肪酸の摂取量と乳がん全体のリスクとの関連はみられませんでした。非喫煙者に限った解析や閉経状況別の解析でも、統計学的に有意な関連はみられませんでした。

引用元:国立研究開発法人 国立がん研究センター 「魚、n-3及びn-6不飽和脂肪酸摂取量と乳がんとの関連について」

以上の調査により、大腸がんや乳がんと魚の摂取には特に関連性はないと考えられています。

青魚の摂取方法

青魚に含まれるDHAやEPAは、加熱しても失われることはありません。そのため、焼いても煮ても栄養素を失うことなく摂取することができます。

また、青魚はサバ缶のように缶詰でも多くの商品が販売されていますが、青魚の栄養素を効率よく摂取することを考えると、缶詰を利用するのもおすすめの方法と言えます。調理が楽というメリットがあるので、魚を調理するのに不慣れという人は、まずは缶詰から食事に取り入れてみると良いでしょう。

青魚を摂取する際の注意点

青魚は普段からよく食べている、という人も多くいるのではないでしょうか。でも、もしかすると損な食べ方をしてしまっている可能性もあります。少し気をつけるだけで効率的に栄養素を摂取できるようになるので、そのコツをチェックしておきましょう。

脂を落としすぎるとDHA・EPAの摂取量が減る

不飽和脂肪酸であるDHAとEPAは、青魚の脂質部分に多く含まれています。そのため、例えば網を使って青魚を焼くと脂が落ちていきます。この時、あまりにも脂を落としすぎるとEPAもDHAも一緒に落ちてしまうことになりますので注意が必要です。

また、煮付けなどにする場合も、煮汁にEPAやDHAが流れ出てしまうことになるため、ぜひ煮汁も一緒に食べるようにしましょう。

アレルギーに注意

青魚を食べることによって、アレルギー症状が出る場合があります。この場合考えられるのは「魚そのものによるアレルギー」「ヒスタミンを原因とするヒスタミン食中毒」「アニサキスアレルギー」の3つ。この中で最も多いものはアニサキスによるアレルギーであると言われています。

青魚を食べることによりアレルギーのような症状が出た場合には、まず医療機関を受診することが必要です。例えば蕁麻疹や発熱、唇のピリピリ感、アナフィラキシーショックなどが見られる場合には専門医の診察を受けるようにしましょう。

参考文献・参考サイト