キャベツはがんに効く?研究データを詳しく解説

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キャベツはがんに効く?

日常的に私たちが口にしており、身近な野菜と言えるキャベツ。キャベツにもさまざまな種類があり、全国各地で生産されています。また、季節によって春キャベツ、秋キャベツ、冬キャベツに分かれており、季節によって生産地が変わるのも特徴です。

キャベツに含まれる栄養成分には、がんの抑制効果があると言われています。そんなキャベツとがんの関係について、研究データをもとに探っていくことにしましょう。

キャベツとは

キャベツはアブラナ科の植物で、もともと南ヨーロッパの地中海沿岸の原産。世界最古の野菜のひとつと言われています。日本に食用のキャベツがもたらされたのは幕末の頃。それ以来、寒い土地や暖かい土地など、日本においては幅広い地域で栽培が可能となっています。

キャベツの栄養成分としては、食物繊維やビタミンU、ビタミンCなどが豊富に含まれています。中でもビタミンUはキャベツから発見された成分で、胃酸の分泌を抑えることで胃や腸の粘膜を健康に保つ作用があります。

また、免疫力を高める、ストレスを和らげる、肌荒れ予防、便秘解消など、さまざまな効果が期待されています。

キャベツががんに効果的とする科学的根拠

福島県にある、総合南東北病院。地域がん診療連携拠点病院である同院では、「健康倶楽部」という冊子を発行しています。その中でキャベツについて、下記のように説明されています。

にんにくに次ぐがん予防効果があるといわれているキャベツには、イソチオシアネート(強いがん抑制効果)とペルオキシダーゼ(発がん物質を抑制)という酵素やビタミンC、ビタミンUが豊富に含まれています。肺がんや膀胱がんの予防に有効といわれています。ビタミンUは胃潰瘍を予防することで有名です。

引用元:南東北総合病院 広報誌 健康倶楽部(2010年8月号)

がんの治療に力を入れている南東北総合病院からの公式見解として、キャベツに含まれる「イソチアネート」には強いがん抑制作用、「ペルオキシターゼ」には発がん物質を抑制する作用があるとしています。特に肺がんや膀胱がんに対して有効であると発表しています。

ほかにも、食品メーカーであるキッコーマンからも、「がん予防に効果がある」との紹介がされています。

キャベツなどアブラナ科の植物にはイソチオシアネートという硫黄化合物が含まれています。イソチオシアネートは野菜に含まれる辛味成分で、がん予防の効果があると注目を浴びています。腸や肝臓などの解毒作用を活性化し、発がん性物質などの悪い作用を緩和することが分かってきました。

 イソチオシアネートは同じアブラナ科のブロッコリーや大根にも、たっぷり含まれています。キャベツやブロッコリー、大根は煮物でも、炒め物でも、和え物でもおいしい食材。毎日の食卓に上手に取り入れたいですね。

引用元:キッコーマン「研究開発本部発!食べ物が持つ健康パワー」

キャベツの有効性を示唆する研究

キャベツに含まれる、イソチアネートによる発がん抑制作用に関しては、1970年代後半から多くの研究が行われ、さまざまなデータが報告されています。

国立がん研究センターからは、アブラナ科野菜と肺がんに関する研究結果が報告されています。この研究では、45歳から74歳までの男女約8万人を調査した結果となっています。内容としては、138項目の食物摂取頻度質問票に対する回答を用いて、アブラナ科野菜の摂取量を推定。アブラナ科野菜の摂取量によって分けたグループによって肺がんの罹患リスクがどの程度異なるのかを調査したものです。

男性全体ではアブラナ科野菜摂取と肺がんリスクとの間に有意な関連はみられませんでしたが、アブラナ科野菜の摂取量が多い非喫煙者で、肺がんリスクが51%低くなっていました。また、過去喫煙者でも肺がんリスクが41%低くなることが明らかとなりました。一方、女性では全体でも喫煙状況別にみても、アブラナ科野菜摂取と肺がん罹患リスクとの間に関連はみられませんでした。

引用元:国立がん研究センター「アブラナ科野菜と肺がんとの関連について」

また、イソチアネートは、疫学的研究などで高いがん予防効果が期待されている食品成分ではありますが、これまで、なぜがんの発生を予防できるのかといったメカニズムについては不明な点が多かったことも事実です。そこで、名古屋大学大学院生命農学研究科食品機能化学研究室では、イソチアネート類が持つ発ガン抑制経路の発見を目指して研究を行ってきました。

結果,BITCはNADPH oxidaseに依存したスーパーオキシドの産生を有意に阻害し,電子伝達を担うNADPH oxidase 構成蛋白質gp91 PHOXに対するBITCの求電子的な修飾が酵素活性阻害のメカニズムであることを強く示唆する結果を得た.一方,BITCは炎症惹起により一過的に集積した白血球の消失を促進すること,この消失にはアポトーシス誘導が関与していることも観察した.

引用元:中村宜督「イソチオシアネートによるがん予防の可能性 ─細胞増殖の選択的制御とその分子機構─」(pdf)

この研究では、イソチアネート類が皮膚に対して持つ炎症改善効果をはじめて明らかにしています。皮膚炎症とそのほかの消化器上皮系組織の炎症が類似していることなどから、皮膚以外においても炎症関連発がんに対する予防効果が期待されているとしています。

さらに、アブラナ科の野菜に含まれる「カラシ油配糖体(グルコシノレート)」は、発がん物質を解毒する酵素を高める働きを持つ、「がん予防成分」と考えられています。理研植物科学研究センター代謝システム解析ユニットと、かずさDNA研究所の共同研究では、グルコシノレートの生合成を調整する鍵となる遺伝子を発見したと発表されています。

今回の研究では、これらアブラナ科野菜の仲間であるシロイヌナズナという植物をモデル材料に用いて、DNAマイクロアレイ技術による全遺伝子の発現解析を行い、目標の遺伝子の探索を行いました。その結果、シロイヌナズナの持つ約27,000遺伝子の中から、グルコシノレート合成酵素を作る遺伝子と同じ発現パターンを持つPMG1という転写因子を作り出す遺伝子を見つけ出しました。

引用元:がん予防成分をアブラナ科野菜に作らせる新規遺伝子を発見- 健康機能性の高い野菜の開発に新たな道 -(pdf)

今回モデルとして使用されたのはシロイヌナズナですが、キャベツをはじめとする同じアブラナ科野菜にも同じ仕組みがある可能性が高いと言われており、今後、健康効果の高い野菜の生産が期待されます。

キャベツの有効性を否定する見解

ただし、イソチアネートを多く含むアブラナ科の野菜には大腸がんの罹患リスクを低減させない、という見解の研究結果もあります。下記は国立がんセンターによる多目的コホート(JPHC)研究グループによるものです。

今回の研究では、ベースライン時(1990年および1993年)に全国10地域に在住し、がんや心筋梗塞、脳卒中の既往がなく、研究開始から5年後の食物摂取頻度質問票に回答した45~74歳の8万8,172人(うち男性4万1,164人)を対象に2013年まで追跡した。質問票では漬け物を含む11項目のアブラナ科の野菜(キャベツ、大根、小松菜、ブロッコリー、白菜、たくあん漬けや野沢菜漬けなど)からアブラナ科野菜の総摂取量を推定した。

 追跡期間中に2,612人が大腸がんに罹患していた。解析の結果、男女ともにアブラナ科野菜の摂取量と大腸がん罹患リスクとの間に有意な関連は認められなかった。追跡開始から3年以内の大腸がん罹患者と上皮内がん患者を解析から除外して、大腸がんがあることでアブラナ科野菜の摂取量が変化している影響を除いても同様の結果が得られた。

引用元:CareNet「アブラナ科野菜の摂取と大腸がん罹患は関連しない―約8万人の日本人男女を解析、JPHC研究」

加えて、アブラナ科の野菜を摂取した量と大腸がんのリスクを部位別に検討した結果、摂取量と直腸がん・結腸がんに対するリスクとの間に有意な関連は認められなかったとしています。

ただし、追跡開始から3年以内に大腸がんに罹患した患者などを除外した場合、女性においてはアブラナ科の野菜の摂取すればするほど、結腸がんのリスクが低いという傾向が見られたようです。

このデータでは、アブラナ科野菜における大腸がん予防効果は認められなかったと結論づけられています。しかし、野菜や果物の摂取が口腔がんや食道がんに対して予防的に働くと報告されているため、野菜や果物を不足なく摂取することは健康な体のためにも大切と考えられています。

キャベツの摂取方法

キャベツは非常に身近な野菜であるため、日常的に摂取しているという人も多いのではないでしょうか。効率的に摂取するためには、下記の注意点を覚えておくと良いでしょう。

生食が推奨されている

キャベツには多くの栄養成分が含まれているものの、ビタミンCやビタミンUは水に溶けやすいという性質を持っているために、茹でたり煮込んだりすると簡単に栄養素が流れ出てしまいます。そこで、栄養素をしっかりと摂ることを目的とするならば、生で食べることが理想的です。

生食が難しい場合には煮込み料理やスープがおすすめ

生食だと栄養素を余さず摂り入れられますが、あまり量が食べられないという人には、煮込み料理やスープの形での摂取がおすすめです。スープまで飲むことによって、水に溶け出したキャベツの栄養素まで十分に摂取できます。

参考文献・参考サイト