喫煙者だけではない「肺がんリスク」―PM2.5も
これまで、肺がんの原因は喫煙というイメージがありましたが、今やだれもが肺がんの危機にさらされています。PM2.5として知られる「大気汚染物質の塊」も肺がんの原因となると疑われていて、もはや他人事ではないのです。肺がんの症例や免疫療法を含む治療法についてご説明いたします。
画像引用元:東京ミッドタウン先端医療研究所HP(http://www.midtown-amc.jp/everycanser/lung/2.html) 進行した肺がん―【胸水貯留あり】強い副作用により軽い抗がん剤への変更を余儀なくされ、積極的な治療法が見つからなかったため免疫療法を併用。
画像引用元:日比谷内幸町クリニックHP(http://www.hu-clinic.com/case/case_01.html) 高齢者の肺がん―【手術・放射線は使えず】抗がん剤が頼りだったが、それのみでは不安だったため免疫療法を併用、数多くの結節が消失。
高齢者の肺がん―【腫瘍切除後非小細胞がんに】高齢であることから抗がん剤治療は取り入れず転移、免疫療法でがんは縮小、肺がんらしい症状なく過ごす。
心筋梗塞患者の肺がん―【手術ができない困難症例】心臓発作をきっかけにがんが見つかったが、手術治療ができず免疫療法を取り入れ、1年でほぼ消失。
肺がんから肝臓へ転移―【抗がん剤に期待が持てず】肺から肝臓に転移、抗がん剤を使用しても効果をほとんど感じられず免疫療法を併用、2ヶ月でほぼ消失。
近年、肺がんの免疫療法薬の開発が活発に行われています。特に、新しい免疫療法で使用される薬剤「免疫チェックポイント阻害薬」に寄せられる感心や期待は、大きいものです。
がん細胞を攻撃する「細胞傷害性T細胞」には、過剰な活性による暴走を防ぐ、ブレーキ役の分子「免疫チェックポイント」が備わっています。がん細胞はこれを利用することで、人がもつ免疫からの攻撃をうまく避けているのです。ブレーキをかけず、細胞傷害性T細胞が本来の力を発揮できるよう開発された薬が「免疫チェックポイント阻害薬」。がん細胞への攻撃を抑制しようとする免疫チェックポイントの動きを阻止する働きを持ちます。
膨大な数の臨床試験が行われるなか、免疫チェックポイント阻害薬として特に注目されているのが「ニボルマブ」「ペンブロリズマブ」「イピリムマブ」の3つです。これらは治療薬開発の中心となっていくことが予測され、今後肺がん治療はより進歩すると考えられています。
病状の改善には副作用がつきもの。免疫療法に限らず、さまざまな治療薬で起こり得ます。特に有名なのは、抗がん剤による副作用。その症状の辛さから、治療を断念するケースも珍しくありません(肺がんにおける抗がん剤治療については、肺がんの抗がん剤治療|代表的な薬の名前と効果・副作用を参考にしてください)。
患者にとって大きな問題である副作用ですが、肺がん治療で使用される免疫チェックポイント阻害薬は、深刻な副作用の報告は比較的少ないです。よく起こる副作用として挙げられるのが、発疹や下痢、下垂体炎など。
通常使用されている抗がん薬とは異なった症状が出る場合もあり注意が必要ですが、全体的に見ると副作用は軽度である薬剤と認識していいようです。発疹などの症状に関しては、ステロイドを使用することで調節できると言われています。
肺がんに対して治療効果が高いと言われている方法に、外科療法(手術)が挙げられます。最も基本的な標準手術は、がんのある肺葉を切り離す「肺葉切除手術」です。
そして「縮小手術」。人の肺は5つの肺葉に分かれており、さらに肺小葉というブロックに細分できます。肺がんが小さい場合には、この肺小葉単位で切除する縮小手術を行います。
それから、肺の周囲にがんが浸透している場合に行われるのが「拡大手術」です。切除範囲が広くなる場合が多く、身体にかかる負担は大きくなります。
外科療法は、がんを完全に取り除くことを目的として行われ、治療効果に対する期待は高いです。しかし、患者によっては術後に息切れが起こり、状態を悪化させてしまうことも。そういったことが予想される場合は、手術以外の方法を検討しなければなりません。
手術以外だと、放射線療法も効果的です。体の外から高エネルギーのX線を照射し、がん細胞を傷つける治療法で、骨や脳へ転移した際に起こる症状の緩和に効果を発揮すると言われています。
紹介した免疫療法、外科療法、放射線治療は、いずれも症状に対して改善の手助けになることは間違いありません。しかし、すべての治療法が適しているとは限りませんので、副作用や身体の負担も考えて治療法を選ぶようにしましょう。